15年くらい前の吉幾三といえば、CMでヒット請負人として引っ張りだこでしたよね?
「♪住み慣れた我が家に~」、「♪行こうみんなでワークマン」を覚えていますか?
本日はそのうちの一つ、ワークマンのお話です。

プロ用アパレル屋さんだよね。と思われる方も少なくないかもしれません。
が、同社は最近、アウトドアウエアやスポーツウエアとして一般消費者にも人気が出ているのです。
国内衣料品市場でワークマンの好調ぶりが際立っていて、店舗数でついにユニクロを超えたという。
ワークマンは839店、ユニクロは国内827店。しまむらは1430店。
『機能性が高く、価格は安い』のがワークマンで取り扱う商品の特徴。
伸縮素材で動きやすいものや、防水、保温力が高い商品を展開し、ストレッチ素材のスポーツウエアが1900円、防寒機能付きのアウトドアウエアが3900円と格安。
これは、アウトドアメーカーやスポーツウエアメーカーの半額以下の価格帯での販売になります。
機能性以外に、ワークマンの強みでは、値下げをしなくても売れる点です。
なぜ値下げしたくても売れるのか??

その理由は作業服だからなのです。
アパレルメーカーはデザインが古くなるとすぐに値下げをする必要が出てきますが、ワークマンは「機能性を重視」しているので、デザインが多少古くなるという概念がないのです。
型落ちがないということは、ロスが出ない。
これはアパレル業界の弱点を覆すものでかなりの強みだと言えます。
さらにワークマンの勢いは止まりません。
新業態「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」が若者や女性からもバカウケで、なんと今年4月の国内店舗数は839と、ついにあのユニクロ超えを達成したのです。
では、なぜ女性や若者にも流行っているのかと言いますと、新作発表の際、作業服メーカーとして異例なことをしているからなのですが
それは…
トップ企業のアイデア

インフルエンサーに新作発表をしている
ワークマンは「インフルエンサーマーケティング」に力を入れています。
16年9月、初めて「ブロガー向け商品説明会」を開催。
「ブログで商品を紹介することが参加条件で、ブログは開設から半年以上経過し定期的に更新されている必要がある」という条件を満たした100名ほどのブロガーを招待。
18年からはブロガーという呼び方はやめて、「インフルエンサーの皆様」に対して、秋冬新商品発表会を説明しています。
「高機能で安価」でファンを増やしてきた

ワークマンは作業着・作業用品の専門店で、1980年いせや(現ベイシア)の一部門として群馬県伊勢崎市に「職人の店ワークマン」1号店を出店。
2年後、別会社のワークマンが設立され、関東を中心に店舗展開が進んだ。
87年には100店舗、97年300店舗、2002年には500店舗となり、12年700店舗、
17年には800店舗を超え、全国に現在837店舗(19年3月末)を展開。
そして、メーカー品の全量買い取りや独自の商品開発もし、必要な機能を確保した上で安価に商品を提供したことで、リピーターの確保につながり、顧客の囲い込みと支持の拡大に成功した。
リーマンショック以降は経費節減のため、作業着が会社から支給されないことも多く、「若い職人がかっこいいものを自前で求めるニーズ」の高まりへの対応を強めて取り込んでいったことも大きい。
ワークマンが目指す商品

ワークマンは需要予測の精度向上に取り組んでおり、予測と販売実績の差はプラスマイナス10%程度。
売れ残っても値下げせず、持ち越して販売します。
アパレルはワンシーズンで商品を入れ替えるが、ワークマンは5年、10年売れるロングセラーの開発を目指し、あまりモデルチェンジをしないのです。
効率性が高い店舗運営を実現

昨今はコンビニの加盟店オーナーの過酷な労働と所得のアンバランスが問題視されていますが、ワークマンの営業時間は6、7、8時~20時で「ホワイト企業」。
オーナーの取り分も軽く1000万円を超えるので子供に継がせるケースも目立ち、トラブルもなく本部と良好な関係を維持しているという。
業績が好調となった13年に、全社員を対象に1年ごとに、年収の3%にあたる額を年2回の賞与に加算して支給するという方針を表明。
14年には、20年3月期にかけて全社員の平均年収を約100万円上げる計画も発表しています。
効率のよい商品戦略

ワークマンの強みは「低価格で高機能」。
新業態の展開にあたっては新たな商品開発は行わず、一般客に人気があり確実に売れると思われる既存店舗で取り扱っていた商品をピックアップして品揃えを決めた。
防水をはじめとする機能性はプロが過酷な現場で使っており、現実でも証明済み。
価格はブランド品よりはるかに安いという事実が明らかで、ファッション性もブランド品と比較してもそんなに差はない。
ブランドを気にしない層にとっては、ジャストフィットする商品なのです。
ワークマンは作業用品店で「見た目はこだわらない」人が一定数存在するので、売れ残りが非常に少ないとされている。
去年売れ残った夏物を倉庫から出して売っているそうで、それでも「こだわらない人」は作業服として購入していく。
もっと作業量も減らすには??
「接客はしないことに決め、接客を必要としない店を目指す」
商品を手に取れば高機能は数値で説明されています。
商品力があれば接客で商品を薦める必要がなくなるので、人材派遣の4人体制でレジと品出し業務を行い、人件費のコストは低く抑えられている。
あとがき

コンビニなどで問題になっているオーナー制度ですが、ワークマンも同じようなオーナー制度を展開しています。 コンビニは家族を労働者として使うため夫婦や大家族が多いが、ワークマンも夫婦オーナーを募集しています。
ワークマンは24時間労働ではないのでコンビニよりマシだが、将来そうした問題が出てこないとも限らない。 ワークマンがさらに業績を拡大したり、海外展開するには、こうした問題点を一つ一つ片づける必要があります。
また超低価格の作業服がメインなので、価格を上げる戦略を取れないのも弱点でしょうか。

放送作家・演出家・地域戦略アドバイザー
1977年生まれ 熊本県天草市出身
株式会社ドーンマジック 代表取締役