アマゾンが考える顧客満足度を上げる効果的な方法の一つに、スピード配送があります。
SNSで即効性なリアクションに慣れてしまった現代人にとって、今や必須のサービスと言えますが、当初は常識はずれでみなびっくりしまたよね。

アマゾンの代名詞と言える、このスピード感は仕事の現場にも生かされているのです。

それを教えてくれるのは、アマゾンジャパンの元幹部である佐藤将之さんの著書
『1日のタスクが1時間で片づく アマゾンのスピード仕事術』。

ここでは本書を参考に、アマゾンが実践してきた「当たり前」の仕事術を紹介します。

1つだけの目標に絞ること

その1つの目標とは…
「お客様の満足度を高めること」のみ。

アマゾンでは、この顧客満足度の向上という最も優先度の高い目的のために、最も効果的な方法こそがスピードアップだと考えられています。

例えば、満足度向上のために必要だとわかれば、予算が10億円も必要な事業も2日で実行に移すことや、膨大なコストが掛かろうとも、2年に1回程度の頻度で全社のパソコンを買い替えてしまいます。

業界の常識を破るスピード配送を提供できたのも、アマゾンの社員自身がこうした常識外れのスピードで仕事をしているからなのです。

そのため、アマゾンの社員レベルのスピード感を身につけるためには、まずアマゾンにおける顧客満足度のような、最優先するべきたった一つの目的を設定する必要があります。

一つの目的さえ設定できれば、あとはなりふり構わずこの目的を追求するだけ。
ではアマゾンはどのようにして顧客満足度向上のために仕事のスピードを上げているのでしょう。

PDCAを週単位の高速設定にする

アマゾンではPDCAの基本サイクル「週単位」に設定。
全体売上、カテゴリ別売上、コストなどの重要指標は毎週報告し、2週間に一度の頻度で本社の部門トップに直接説明するというサイクル。

2週間より長い1ヶ月や四半期、半期、1年といったスパンでは大きく以下の2つの問題が出るから。

  • すでに目標と結果のギャップが広がってしまっているので、遅れを取り戻せない可能性が高まる。
  • 時間が経っているせいで原因を究明しきれず、有効な対策が打ち出しにくくなる。

とはいえ、短いサイクルが良いからといって1日単位でPDCAを回すと、アマゾンのような小売業回の場合、今度は流れや傾向の分析ができなくなり、PDCAを回す意味が薄れてしまいます。

つまり最適なスパンで最速でPDCAを回すことこそが、本当意味でPDCAを高速化することにつながるのです。

自分がやる仕事の量を減らす

例えば、見栄えのいいグラフを一生懸命に作っていたり、パワーポイントの見せ方にばかり時間をかけていたりといった具合。

確かに仕事のスピードを上げるためには手を早く動かすことも重要。
しかし仕事そのものの量が減れば、それだけ重要な仕事に注力できるため、結果的に仕事のスピードも上がります。

では、どうすればやらなくてもいい仕事と、やるべき仕事が見分けられるのでしょう。

ここで再び登場するのは「顧客満足度」。
自分が顧客の立場に立ってみて、「その仕事は自分(顧客)のためになっているか?」と考えます。

例えば、ある社員が見た目だけが立派なパワーポイントに膨大な時間をかけると、その社員の残業代は結果的に商品やサービスの価格に上乗せされてしまいます。
顧客としての自分は、そのような商品やサービスにお金を払いたいと思うか、と考えるのです。

アマゾンは顧客満足度を何よりも重視するため、この自問自答でNOという答えが返ってくれば、その仕事は即刻やめてしまうべきです。

つまり、「たった一つの目的」に照らし合わせてみて、それとズレているような仕事は徹底的に排除しましょう。
そのため、一度やめてみるのも効果的です。

組織では、惰性でやっているだけで、特に意味のない仕事がたくさんあります。
そのため試しに一度止めてみても、誰にも咎められないものは多くあります。
もし問題があって誰かに指摘されると「すみません」と謝り、またやればいいだけのこと。やる前から恐れるのではなく、一度止めてみてみて検証してみましょう。

スピードでスキルと成果が上がる効果

「スピードばかり意識したら、仕事が雑になるのでは?」
と考える人もいるかもしれませんが、しかしそれは間違い。

まずスピードを重視することでトライアンドエラーの回数が増え、この時に都度PDCAを回していれば、学びの数も増えていきます。
すると成長の速度も上がるので仕事のスキルも上がり、それが成果つながります。

そのため、ともかくスピードを重視することが最優先で、スピードを上げるためには「一つの目的」を設定することが大切なのです。

とはいえ…
実は何でもかんでも「スピード命!」じゃないのが、アマゾン流。
上層部の会議に至っては、逆に長い時間かけているケースもあるのです。

会議で黙読会をするワケ

アマゾンの上層部会議では、出席者の1人が練り上げられた6ページの長文メモを用意します。
構成は主題、文章、動詞がしっかりと使われた物語になっているもの。
箇条書きだけのメモではなく、議論のための、文脈を作り出すためのメモなのです。

もちろん書式は自由ですが、主にメモやワード。
アマゾンがパワーポイントの使用を禁止していることは有名ですよね?
そして出席者全員が、座って静かにメモを読み込みます。
たっぷり30分かかることも珍しくなく、その後メモについて議論がスタート。

長文メモを用意する理由

充実した内容の長文メモを書くには、書き手はテーマについて深く理解する必要があります。
同時に書き手には「教えるという視点に立って、メモを練り上げる」ことが求めらます。
全員にしっかり読んでもらえるような絶対確実な方法を用いるのです。
そのため、優れた仕事にはスピードだけではなく努力が必要ということ。

「充実したメモを書き上げるには、おそらく1週間以上かかるはず」
とベゾス。

「全員が会議室でメモを読む。そうしないとまるで高校生みたいに、幹部たちは本当は読んでいないのに、メモを読んできたかのような顔をする。だから、読む時間をあえて作って、全員がしっかりメモを読むようにしている。読んだふりをされないように」。

「思慮深く、すばらしい」メモは「レベルの高い議論をするためのお膳立てをしてくれる」
とベゾス。

あとがき

ジェフ・ベゾス氏、書斎の暖炉に刻んだ2つの言葉というのをご存知ですか?

そこにあるのは人間の創造性についての哲学。

・ドリーマー(dreamer)
・ビルダー(builder)

成功の秘訣は、その両方になること。
その書斎には、2つの暖炉が向かい合って配置。

書斎の一方の暖炉の上には「ビルダー(Builders)」の文字が刻まれ、ビルダーによって書かれた本が陳列。反対側の暖炉には「ドリーマー(Dreamers)」と刻まれ、ドリーマーの本が並んでいます。

これが意味するのは、未来の姿を描くにあたって、ビルダーとドリーマーを融合させるということ。
最初にドリーマーが登場し、インスピレーションを与える。

ドリーマーには、SF作家も含まれる。
例えば、アレクサは「スタートレックのコンピューターにインスパイアされたという。

次に、ビルダーはドリーマーにインスパイアされます。
そしてビルダーが新たな土台を築き、その上でドリーマーはさらに夢を見ることができるという。

「ドリーマーは、ビルダーが作るまで、夢を見続けることはできない。両者は支え合っている」
とはいえ、ベゾス氏はビルダーとドリーマーは2つの別のグループに分かれているわけではないと述べた。

「誰もがドリーマーであり、誰もがビルダー」
さらに「我々は誰でもその能力を持っている。
夢を描き、作り、そして、それを続けていくことは、とても人間らしい能力」。

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