アマゾンでお買い物することってありますか??
私もよく利用しており、でも気づいたらあれっ意外と値段高いじゃん。
昔のマツキヨと同じパターン。意外と安くないよね。
なんて思いに駆られるのですが、とはいえネットでお買い物する時はやっぱりアマゾンを開いてします訳で…
なんで開いてしまうのか。
これもまんまとアマゾンの作戦に引っかかっている訳です。
「ロングテール」戦略

あまり売れない商品を数多く扱うことで、大きな売上を生み出す販売手法を「ロングテール」といいます。その名の通り「長い=ロング、しっぽ=テール」ですね。
店舗販売では、どうしても売れ筋商品が主体になりますので少数派の需要には対応できませんが、ネット販売なら対応できる、ということに、アマゾンは早くから気づいていました。
「アマゾンならあるかも」というお客様の期待感にアマゾンは応え、探していた商品を手に入れたお客は、次回からはまず「アマゾンから見てみようか」と思うように…
私です。
覗いたら覗いたで、クリックしてしまい購入していることも。
実は、登録をしておけば、「1click」と書かれたリンクをクリックするだけで注文が完了する。
このシステム、アマゾンの特許だったのです。
あと、やたらでかい段ボールがうっとうしく感じることもありますよね。
これもアマゾンの戦略でした。
できるだけ大きい梱包サイズにして、いろいろなサイズの本が1種類の梱包ケースに入れられるようにし、管理や運用の手間を省くようにしたわけです。
なぜアマゾンの本社はシアトル

そのアマゾンといえば、シアトルにあるのをご存知だと思います。
日本から一番近い港町シアトル。
世界的巨大企業生誕の地としても有名ですよね。
ボーイング、マイクロソフト、コストコ、スターバックス、そしてアマゾン。
でも、ところでなぜアマゾンはシアトル??

アマゾン以外の、有名大企業の創設者はそのほとんどがシアトル、またはシアトル近郊出身で、シアトルで創業の意味が分かります。
ですが、アマゾンの創設者であるジェフ・ベゾスの出身はシアトルではなく、ニューメキシコ州アルバカーキ。
NYのヘッジファンドで働いていたベゾスがオンライン・ブックストアを起業することを思い立ち、
NYからシアトルに向けて移動中の車の中でそのビジネス・プランを書いた話は有名。
シアトルを選んだ理由として、主に3つあり

1つは、優秀な人材がシシアトルに集まっていたから。
アマゾンが設立された94年には、マイクロソフトは既に世界のOS市場の90%のシェアを占有していたこともあり、テクノロジーの第一線で働きたい人材がシアトルには多くいたのです。
アマゾンを立ち上げるのに必要とされる優秀な人材を集めるのに適した土壌があった。
2つめは、アメリカ最大の書籍卸業者の所在地であるオレゴン州ローズバーグに比較的近かったこと。
「世界最大のオンライン・ブックストア」として起業したアマゾンにとって、この近接性は必要不可欠であった。
3つめは、ワシントン州の税金が安かったから。
当時、ネット通販会社は、施設の存在する州に限り売上税を徴収することが義務付けられていた。
よって、ワシントン州という小ぶりな州に本拠を置くことは、税金の負担を軽くし、それをビジネス上の優位性につなげるという思惑があったのでした。
アマゾンが第二本社を作ることになった

そのアマゾンが第2本社を作ることになり、2つの都市に決まったと発表されました。
1つ目はアメリカの首都ワシントン近郊にあるバージニア州
「クリスタルシティー」
ワシントン中心部から地下鉄で25分ぐらいのところで、国防総省や空港なども近くにあります。
もう1つは、ニューヨークの
「ロングアイランドシティー」
マンハッタンから川を渡ってすぐで、マンハッタン中心部から15分程度という交通の便のいい場所。
いずれも主要都市の近くとなり、アマゾンなら、アメリカど真ん中の田舎で新しいモデルを!
いやアマゾンなら、やっぱりアマゾン川流域に!なんて期待がありましたが、驚きが少ない結果になりました。
とはいえ、第二本社設立がなぜこんなにも話題になったのか言いますと、そこにアマゾンの非戦略があったのです。
それは…
トップ企業のアイデアはここ

自治体とタッグを組もうとした
日本の地方でも税金を落としてくれる企業の誘致は田舎生き残りの策として、取り組まれていますよね。
それはアメリカも同じで、アマゾンが第二本社設立を宣言してからというもの、自治体の誘致合戦が始まったのです。
誘致して、自治体は何がお得なの??
まず何といっても経済的な波及効果です。
成長著しいアマゾンは、今本社があるシアトルの経済成長に大きく貢献してきた事実があります。
自治体からオファー殺到

アマゾンが第2本社を公募したのは2017年9月。50億ドルを投資し、最大5万人の雇用を生み出すということで、予想を超え、238の自治体からのオファーが殺到したのです。
- 「名前をアマゾン市に変えるから来て!」
- 「巨大サボテンプレゼントします」
- 「アマゾンの商品めっちゃ買います」
- 「もう名誉市長はジェフ・ベゾスで」
- 「アマゾンのレビュー死ぬほど書くから」
といった具合にフィーバーに。
果たしてこれはアマゾンにとって嬉しいのか??
当初、自治体とタッグを組もうとしていたのだが…
あれ??そんなメリットないじゃんとどこかで気づいたのではないか?
マネしたいポイントはここ

いや、単純に宣伝として利用したのではないでしょうか?
東海岸に行った理由とは??
誘致合戦を仕込んでおきながら、選んだのは冒頭の2都市。
そんな結果ゆえ、なぜ自治体を巻き込んだのか。
そもそもなぜ第2本社が2つに分かれたのか、釈然としないところがあり、アメリカのメディアや専門家からも批判の声が上がりました。
「誇大広告ではないか」
との声。
でもそれでいいのでしょう。
トランプ流にいうと、悪い噂でも宣伝は宣伝。
ある方へ向けての宣伝になればいいのでしょう。

そのある方とはエンジニア。
そう、アマゾンが東海岸に来たのは、
ITの人材確保だったのです。
今後の事業拡大には高度なIT人材の確保が必要ですが、もう西海岸は人材が枯渇しているのです。
というのも、現在本社がある西海岸は、ほかにもグーグルやアップル、フェイスブックなどさまざまなIT企業があり、人材の争奪戦が激しくなっています。
一方、かたや東海岸で、しかもワシントンやニューヨーク近郊には、大学もたくさんあり、新しい人材を採用できるという利点があるのです。
あとがき

アマゾンの初期の頃を覚えていますか??
私は本をよく買っていました・
そう、冒頭にも書きましたが、アマゾンが最初に扱った商品は「本」でした。
では、なぜ本だったかというと、
本はどこで扱ったものでも「基本的に同じモノ」が手に入るから。
どこで扱っても、品質、価格にほとんど差はありません。
例えば食品と比べると、その差が容易にイメージできると思います。
開業したばかりで、実績・信用のないアマゾンにとって、品質管理にほとんど気を遣うこともなく、消費者に安心して届けられる「本」は、そういった意味で、実に優れた商品でした。
アマゾンは、紹介と販売に経営資源を集中し実績と信用を蓄積していったのです。
さらに本は、企業の血液であるキャッシュフローが良いのです。
「本」の流通には、「取次(とりつぎ)」という独特な方式があります。
「本」は「取次業者」を経て流通し、売れれば請求が発生するのですが売れてもすぐ請求されるわけではなく、長ければ数ヶ月のタイムラグがあります。
一方、ウェブ上の入金はほとんどが現金かクレジットなので、即日~2ヶ月で入ってきます。
アマゾンは、このお金を決済する前に他の仕入に運用し、莫大な利益を得たのでした。

放送作家・演出家・地域戦略アドバイザー
1977年生まれ 熊本県天草市出身
株式会社ドーンマジック 代表取締役