夏の暑い日といえば、シーブリーズですよね?
私たちおっさん世代はそうでした。
体育の後や部活終わりに女子と話すわけでもないのに、誰かが持っていたシーブリーズを回しつけしていた記憶があります。

もうかなり古い想い出ですよね?
と思いきやシーブリーズってもっともっと古くからあるんです。

1902年、夏目漱石が構想しているころにアメリカで誕生。
シーブリーズの成分はハッカ油やユーカリ油などですが、現在のシーブリーズとほとんど同じだったそうです。

時は流れ日本では1968年から発売。
ジーンズが本格的に流行したこの年、雑誌広告で若者の興味を惹いたのですが…ヒットせず。

しかし!

朝シャンブームで1987年からシャンプーの発売を皮切りに、おしゃれに敏感な若い世代に大ヒットしたのです。

その後「夏」や「海」のイメージを訴求し、サーファーをはじめスポーツを楽しむ若者の支持を得ましたが、認知度・使用経験ともに徐々に低下。
またもや暗黒時代にはいるのでした。

そこで2007年に訴求ポイントを「汗対策」に切り替え、ターゲットを女子高生へと変更。
これが見事成功し、売上はどん底から8倍になり見事V字回復を達成したのです。

ターゲットを10代女性にした理由として、話題の広がりと共にもう一つある狙いがあったのですが、

その狙いとは・・・

トップ企業のアイデア

母親にも広がることを狙った

迷走した男子押し。海はもう行かない?

2000年に資生堂のブランドとなり、継続して夏を中心にプロモーションを実施しましたが、売り上げは右肩下がり。
06年には、夏の肌や髪をケアする「ナチュラル+エイド」として、本質的な価値訴求を行うが大きな成果は得られななったのです。

そのため、ターゲットの行動や嗜好を徹底的に調査。
毎年定期的に実施していた時系列調査を改めて分析。

80%以上の人がシーブリーズのイメージを夏や海と答える一方、若者の75%の人が海やプールに行く回数が減った、もしくは行かないという結果で、その割合が増えていることがわかった。

男子を諦め女子高生へシフトチェンジ

使用シーンを海から街へ大きく変更。
「日焼けケア」から「汗ケア」へとコンセプトを変えた。

マリンスポーツを楽しむ若い男性から、高校生、とりわけ流行を生み出す女子高生へとコアターゲットを変えた。
CMもハワイ撮影や大物タレントの起用をやめ、高校生の日常に近い学校での撮影や、共感を得やすい等身大のタレントにした。
パッケージも高校生を狙ったカラフルなボトルにし、香りも増やした。

その結果、売り上げは回復。

なぜ女子高生をターゲットに??

大微妙なオトメゴコロに対応できるよう4種の香りのバリエーションに拡大し販売。

女子高生の好みに合わせたのですが…
女子高生のお財布といえば…そう「パパ」。
ではなくお母さんですよね。

娘の使う商品において、必然的にママも使う権利が伴ってきます。
娘にとっては自分の小遣いで買うのではなく「母親に買ってもらえる」ことを意味します。
4種の香りを設定し「毎日の気分によって使い分ける」ことなどを流行らせ、母親に「大人買い」させて、使用を習慣化させることを狙ったのです。

制汗剤で主使用層として女子高生を優先し、そこからその母親に波及させ、日焼け止めにおいても同様の展開を意図しているのです。

また、母親はそう40代、50代。
シーブリーズ命世代です。
「娘と一緒」「青春の日々に使ったブランド」など刺さるキーワードで訴求も出来たのです。

勝因は女子高生のキャラを細かく設定したから

「運動部の部活後、高校生、とりわけ女子高生が制汗剤として使いたがっている」
という潜在ニーズを発見し、ターゲットを
「部活後の女子高生」と設定。

パッケージは女子受けするようなカラーや香りのバリエーションを増やしました。
CMも「部活後に好きな男の子に会うのに汗を気にする女子高生」という設定で、現在のようなストーリーに。
その結果、狙った通りに、若い女性を中心に大ヒット。
売上はV字回復し、数年で低迷期の8倍の売上になったのです。

あとがき

前項したシーブリーズとは逆に、女性向けだった商品を、男性向けに売り出し、しかも中高年男性にターゲットを絞ったことで大ヒットした商品があります。

分かりますか??

ニベアです。

ニベアメンですね。

「ニベア」と言えば、ロングセラーの「青缶」が有名ですが、本国のドイツでは男性向けの商品も古くから発売、支持されていました。
日本にこのメンズ商品が導入されたのは2002年。

しかし当初はなかなか売れませんでした。 
日本の男性用スキンケア市場はアフターシェーブが主流で「肌のお手入れ」の関心度は低い…

で、そこを狙ったのです。

おっさんはスキンケア初心者が多いとみて、エイジングの付加価値を付けたニベアを作ったのでした。
その後、元々お母さんが使っていた記憶もあるため、信頼があったニベアメンズがヒットしたのでした。

本日の格言

「女子高生に売れないならオヤジに売れ」
「オヤジに売れないなら女子高生に売れ」