カレー最近食べましたか??
スーパーのカレー売り場に行きますと、、いまやカレールー固体は少なくなっており、レトルトカレーが広いスペースを締めていますよね。
実は、2017年に初めて、レトルトカレーの売上がカレールウを上回ったのです。
現代では家族が3人以下という家庭が増え、小人数分を作るよりレトルトで済ませる場合も多い。
特に高齢者は調理が負担になるので、パックご飯にレトルトカレーで済ませる人が多いと考えられます。
単身者の割合は年々増えているが、彼らは自分で調理せず調理済み商品を買うので、カレーといえばレトルトカレーになります。
本日は、そんな絶好調のカレールー業界において、まだどんどん売上を伸ばしているボンカレ-のお話です。
世界初のレトルトカレー「ボンカレー」

ボンカレーといえば、世界初の市販用レトルトカレー。
そして、そのCMといえば時代を彩ってきました。
松山容子か、ボンカレーゴールドの王貞治か、あるいは松坂慶子あたりでしょうか?
発売から48年を数えるロングセラー。
「3分間温めるだけ」
というわかりやすいテレビCMと、営業マンが全国各地に貼り回ったという女優の松山容子さんが着物姿で登場するホーロー看板の効果もあり、知名度は抜群。
アンケート調査をすると、ボンカレーの認知率は9割を超えています。
そんなマス広告の象徴のような存在だったボンカレーですが、実はCMの大胆なテコ入れてしており、
それが売上アップにつながったのですが、
では、それは…
トップ企業のアイデア

テレビCMを止めた
大塚食品はボンカレーについてテレビCMなどのマス広告(新聞、ラジオ、雑誌、テレビ広告)から撤退。
撤退したのが2013年。
それから、毎年年間20%増の売り上げで伸びをみせている。
なぜ止めたの??
みんなが知っているものなので、今までのCMのように一方的に商品を伝える手法ではなく、消費者がもっとボンカレーに興味を持ってもらえるような話題や共感できるコンテンツを提供することが必要と感じていて、それをPRで広げていくという手法に切り替えました。
15秒や30秒では生活者にとってボンカレーがどういう存在でありたいか、メッセージを伝えることは難しいという。
では、どうやって広めていったのでしょう。
テレビCMではもう話題にならない‥。

電子レンジ調理出来るパッケージの開発した時のこと。
パリパリと箱を切れ目に沿って開けるとレトルトパウチが登場。
このまま箱から取り出さない状態で電子レンジに入れて調理することが可能で、2013年に“電子レンジ対応”したボンカレーをリリース。
その際にテレビCMをかなり打ったのですが、ほとんど認知されませんでした。
テレビCMに代わって活用したのが、YouTubeで公開する数分間の長尺動画

「ボンカレーは誰を救えるのか?」
を突き詰めた結果、共働き率が高まりながらも家事負担がなかなか軽減しないワーママに訴えかける内容にした。
共働きの多忙な3世帯の協力を得て、部屋にカメラを設置して平日の夕食の様子を撮影。
保育園から一緒に帰宅するなり母親に甘えたがる子供をなだめすかしながら夕食の準備に追われる、そんな気が休まらないワーママの姿を追いかけた。
しかし!!
クチコミによる拡散はあったものの、動画への集客はバナー広告などに頼っており、出稿を増やして集めた再生回数は、最後まで視聴される完視聴率の面で満足のいく水準ではなかった。
そこで!
2015年暮れから年明けにかけての15日間、3つのサイトの記事の「熟読率」を測定できるツールを導入し、動画の完視聴率との相関についても調査。
閲覧数だけでは分からなかった記事の読まれ方が把握でき、メディア選定やタイトル付け、動画の配置場所などを考える上で改善をかさね、その結果 年間売上120% 広告宣伝費6割減達成と効果を発揮しはじめたのです。
コラボ企画で宣伝

ボンカレーがご当地コラボをしたのが、宮崎県。
ボンカレーのシンボルマークと宮崎県がそっくりだったことがあり、宮崎県側から打診を受けました。
大塚食品にとってみれば、わずかな売り上げにしかならず、売り切ったとしても赤字かもしれない。
だが、ご当地ボンカレーであること、農作物や畜産物で名高い宮崎県とコラボできることなど、話題性を高めるのに絶好の機会。
マスメディアの役割が変わってきている

マスメディアは新規ブランド認知にしか役に立たないという認識がじわじわ来ています。
高齢少子化で拡大しない日本マーケットだと、テレビCMはあまり意味がない。
認知度が100%に近い食品系のナショナルメガブランドは、広告費の増減と売上の増減は統計的にみても元々ほとんどリンクしないことが多いのです。
あとがき

今後レトルト食品はまだまだ伸びる傾向にあります。
働く女性が増え、いま時短食品が注目を集めていて、新たな商品が続々と発売されてヒット商品が誕生しています。
時短食品は調理が簡単な食品でもあるので、男性でも数分で作れる商品が多い。
代表的なのは冷凍食品で麺類やご飯類を中心に総菜、一人用の食事セットや糖尿病でも食べれる低カロリー食も売られています。
そして、男性や高齢者にもメリットが多いですよね?
焼肉も1人前や2人前で味付けされていてニラなどが入ったものが売られていて、そのまま焼肉として食べる事もできる。
これにカット野菜を入れれば野菜炒めになり、味付けされているので好みの香辛料で整えるだけでいい。
みそ汁も今やフリーズドライや練り味噌タイプが主流で、朝早起きして一から作る家庭は少なくなった。
ごはんを炊く家庭も減少し、特に1人住まいではパックご飯を使う人が多くなりました。
独居高齢者にとってご飯を炊くのはハードルが高く、ごはんはすべてパックという人も多い。
こうした時短食品は冷蔵か冷凍が必要な場合が多いので、それに伴い、大きな冷凍庫を備えた大型冷蔵庫が売れています。

放送作家・演出家・地域戦略アドバイザー
1977年生まれ 熊本県天草市出身
株式会社ドーンマジック 代表取締役