巷に溢れる怪しい成功法則の真偽に迫る一冊。
世の中のありとあらゆる「成功ルール」を検証した全米ベストセラー。

あなたは成功者の実像を間違えていませんか?

  • 成功者は優秀?→NO! アメリカの大富豪の大学での成績はよくない
  • 成功者は社交的?→NO! 第一線の専門家やトップアスリートの9割は、「内向的」
  • 成功者は健康?→NO! シリコンバレーの成功者の多くは精神疾患スレスレ

など。

2017年上半期、米アマゾンが選ぶ「ベストビジネス書」の1冊にも選定!

本書の冒頭に次のようにある。

「ジャンボ宝くじで三億円当たったひとが、『宝くじを買えばあなたも億万長者になれる』という本を書いたとしたら、『バカじゃないの』と思うだろう。なぜなら、この『成功法則』には普遍性がないから」

実際、これをやれば成功すると本気で信じて取り組んでいるのに、それが成功法則でも何でもなかったら最悪です。
まさにそのために多くのエビデンス(証拠)が例題されているのがこの本。

それでは『残酷すぎる成功法則』の印象に残ったポイントをご紹介。

成功するにはエリートコースを目指すべき?

高校を首席で卒業した人が社会で大成功するかと聞かれれば答えはNO。
大した成功を収めていない。

優れたリーダーには2種類いる。
いわゆるバランスのとれたエリートリーダーと、外れ値にある特化型リーダーだ。

例としてはイギリスの首相には2種類いて、バランスのとれた紳士チェンバレンはヒトラーを信じて失敗し、後をついだチャーチルはヒトラーをぶん殴りイギリスを救った。

多くはタンポポのようにどうしたってソコソコの花を咲かせるが、突出した才能は適合した環境にあれば大輪の花を咲かせる。

シリコンバレーの起業家たちは偏執狂だし、大きな改革を行う政治家や、ビジネスで大成功するのはたいていサイコパス傾向がある。
(かと言って余りに社会に適合できないと成功できない)。

この事実を自分のキャリアに生かすにはまず自分の強みを知る事。
そして、それを活かせる環境を見つける事。

「いい人」は成功できない?

海賊は稀に見る民主的な組織だった。
黒人も白人も平等で規則を決めるのは全員一致が基本だった。
船長と船員の報酬差も約2倍程度で格差も少なかった。
奴隷解放の150年も前の話だ。

海賊はもともと横暴な船長を追い落とすために発足した。 
海賊はもっとも民主的で成功した犯罪組織と言えた。

荒くれ者のイメージは対外的なもので、オッカナイと思われた方が仕事がしやすかったからである。
つまり例え犯罪組織でも信頼関係は不可欠であるということである。

仕事を黙々とこなす人より、上司にゴマをする人の方が出世するデータがある。
基本的にサイコの方が成功するのだ。
しかし、悪がまかり通ると皆が悪を始め、組織自体が崩壊し、利益が得られなくなる。

一方で、人々に与え続けるギバーは最底辺と最上部に存在する。
ギバーは搾取される一方、信頼を得て最上部に至ることもあるのだ。

ひたすら奪われ続けるのは聖人ではなく愚者である。
取引が継続的に行われる場合、コンピュータのシュミレートではしっぺ返し戦略がもっとも利益を得た。
そして、さらに「しっぺ返し戦略+たまに許す」がさらによい成績をあげた。

我々が学ぶべきはしっかりと仕事をしつつキチンと上司へのアピールも欠かさないということ。

勝つためのストーリーを作ろう

人がグリッド(諦めない力)を手に入れるにはストーリーが必要である。
ストーリーは必ずしも事実である必要はない。
人は時に自分をテレビのヒーローに投影したりする、そしてそれが大きな力を発揮することもある。

ナチスの収容所から生き延びたのは屈強なものでも若者でも従順なものでもなく、生きる意味を持っていた者だった。
それが例え生きている可能性の低い妻の存在であっても。

必ずしもストーリーは事実である必要はないのだ。
自分のストーリーはどう作るのか、それは履歴書向きのプロフィールではなく、自分の葬式で語られるべき弔辞用のプロフィールである。

誠実であったとか、正義感に溢れていたとか…
現在の自分がそうでなくても、その様に振る舞えばその様になってゆく。

もう1つはゲームとして捉えること。
テレビゲームをやる時、 人は8割は失敗している。
それでも尚、ゲームが人を惹きつけるのは何故だろう?

  • 良いゲームは勝つことができる。
  • 良いゲームは斬新な課題を与える。
  • 良いゲームにはゴールがある。
  • 良いゲームはフィードバックがある。

人は大きな成果よりも、小さな成功を積み重ねることに喜びを感じる。

人々が仕事を退屈に感じるのは成功して当たり前、同じことの繰り返し、失敗は許されない。
これではゲームとしては出来が悪すぎる。

自分からゲームを設定して遭難から生還したものもいる。
何に力を注ぎ、何を諦めるべきか。
グリットを発揮すべきかどうかの判断基準として

  • Wish(願い)
  • Outcome(結果)
  • Obstract(障害)
  • Plan(計画)

ゲーム性を取り入れよう。失敗8割でいい。

小さな成功、ご褒美を積み重ねる。
勝てること、斬新な課題、ゴール、フィードバック。

ほしいものを夢に思い描いても望みは実現しない

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『引き寄せの法則』などにもあるが、ほしいものを夢に思い描き、望み続けると、その望みは実現するというのがあるけど、それはどうなのか。
実はそんなことはないという。

ニューヨーク大学心理学教授のガブリエル・エッティンゲンによると、人間の脳は現実と幻想を見分けるのが得意ではありません。
見分けることができないからこそ、(幻想である)映画などを観ても、まるで現実のようにのめりこんでしまう。

そのため、何か望みを実現したことを夢見てしまうと、脳はその幻想を現実のように認識し、まるですでに望みは実現したもの(望みを手に入れたもの)と勘違いする。
そうして、努力することをやめてしまうわけです。

たとえば……、
理想の仕事につくことを夢見ていると、出願書類を出す数(機会)が減って内定も減る。
ダイエットであれば、細くなった水着姿をポジティブに思い続けた女性は、ネガティブな(太っている)イメージを思い続けた女性より減量がうまくいかなかった(10kgほど少ない)。

成績で多くのAをとったことを夢見ていると、勉強時間が減り、成績が落ちる。
望みを実現したことを夢見つづけると、その幻想を現実のように認識し、努力をやめてしまうわけです。

目指す夢を夢見るのをやめよう

ポジティブな自分への語りかけと楽観主義は、たしかに諦めずに目標を追求できるように助けてくれるが、それ自体が目標達成を保証してくれるわけではない。
もちろん、夢見ることが本質的に悪いわけではないが、第一歩にすぎないのだ。その次に、せっかくの夢に水を差す怖ろしい現実と、どこまでもつきまとう障害に立ち向かわなければならない。

ニューヨーク大学心理教授のガブリエル・エッティンゲンは、
欲しいものを夢に思い描くだけで、実現の可能性が高まるといった類の説に猜疑的だった
そこで、同氏は研究を重ね、自分の考えが正しいことを証明した。
実際、彼女は十二分に正しかった。

夢見ることは、あなたの望みを実現しないばかりか、欲しいものを手に入れるチャンスをも遠ざけてしまう。

人間の脳は、幻想と現実を見分けるのが得意ではないことが、明らかにされている。
(だから映画はスリリングなのだ)。

何かを夢見ると、脳の灰白質はすでに望みのものを手に入れたと勘違いしてしまうので、自分を奮い立たせ、目標を成し遂げるのに必要な資源を集結させなくなってしまう。
そのかわりにリラックスしてしまうのだ。

するとあなたはやるべきことを減らし、達成すべきことも減らし、結局夢は夢で終わってしまう。
残酷な話だがポジティブシンキングそれ自体は、効果を発揮しないのだ。

そのため、目標を達成するためには、「WOOP」という、詳細な計画とアクションの仕組みが必要になってきます。
エッティンゲンは、これと同じシステムを、私たちが実践しやすいシンプルな形にまとめ「WOOP」」と名付けた。

WOOPとは、願い(Wish)、成果(Outcome)、障害 (Obstacle)、計画(Plan)の頭文字を取ったもので、仕事や人間関係、運動、減量など、ありとあらゆる目標に適用できる法則である。

まず、自分の願いや夢をイメージする(「素敵な仕事に就きたい」)。
次に、願いに関して自分が望む成果を具体的に思い描く(「グーグル社で事業部長として働く」)。
それから現実を直視し、目標達成への具体的な障害について考える(「同社の面接を受ける方法がわからない」)。
障害に対処する計画を考える(「グーグル社で働いていて、人事部に連絡してくれる知人をリンクトインでチェックする」)。

目標を達成するためにはざっくり計画する

目標を達成するにはあらかじめ計画をざっくりと立てておくことが重要。
「ニューヨーク大学の心理学者、ピーター・ゴルヴィツァーとヴェロニカ・ブランドスタッターの研究によれば、たとえば、目標を達成するための行動をいつ、どこで、どのように取るかなど、ざっくりと計画しているだけで、学生たちが目標を実現できる確率が四〇%上がったという」

次のことをざっくりと計画を立てるだけで目標が実現する確率が40%上がる。

  • いつ
  • どこで
  • どのように
  • そして、すでに予想がつく障害については次のことがポイントになります。

「もしも」の時に「そのときは」どうするのかを考えておくこと。
これによって障害で立ち止まってしまうことも少なくなります。

「二つの魔法の言葉は、『もしも(If)』と『そのときは(Then)』である。
予見できるどんな障害に対しても、『もしXが起きたら、Yをすることで対処しよう』と考えておくだけで、結果は大違いだ」

面白いゲームに含まれる共通要素

面白いゲームに含まれる4つの共通要素は次のものです。

  • 勝てること(Winnable)
  • 斬新であること(Novel)
  • 目標(Goals)
  • フィードバック(Feedback)

実際、これは様々な企業の支援をしていても強く感じます。
特に感じるのは「勝てること」です。
勝てない期間が長期間続くと大抵の人が耐えられなくなってしまいます。

成功に必要なことは環境

ハーバード・ビジネススクールのボリス・グロイスパーグ教授が次のように述べています。
「ウォールストリートの敏腕アナリストたちが競合会社に転職すると、トップアナリストの座から転落することに気がついた。一般に、専門家の能力はもっぱら本人特有の技能によるものと考えられ、環境の力は見過ごされがち。たとえば、専門家本人が周囲の内情を知り尽くしていること、彼らを支えてくれるチームの存在、一緒に働くうちにつくり上げた簡潔な伝達法、などといった要素だ。それを裏づけるように、花形アナリストが自らのチームを率いて転職した場合、そのままトップの業績を維持していることを発見した」

自分を許す気持ちを育てよう

テキサス大学准教授のクリスティン・ネフは「うまくいかないときは自分を許せ」と述べています。
「自分自身への思いやりを持てば、失敗したときに、成功の妄想を追う必要もなければ、改善の見込みがないと落ち込む必要もない。ばかげた期待を膨らませたり、目標に届かないと自分を責めたりしてヨーヨーのように上がり下がりすることもない。私はなんて素晴らしいんだ、と自分に嘘をつく必要もない。そのかわり、うまくいかないときには、自分を許すことに心を注げばいいのだ」

自信の過剰も過少も問題がある。
そこで、セルフコンパッション(自分を許す)の登場になる。

自分を許すとはIQでは計れない知恵に属するもので賢者の有り様である。
セルフコンパッションできるものは、人にも優しい。
自信に目を塞がれることもなければ、無能に見られることもない。
リンカーンはそんな人だった。

自分を許すことは得意分野のひとつだ。
確かに人にも優しくなれる。
自分ができないことで人に文句は言えないのだから。
許そう!自分を。

またセルフ・コンパッション(自分への思いやり)には、自尊心のプラス面がすべて含まれるが、マイナス面は含まれない。
良い気分で仕事の成果を上げられ、高慢ちきになることもなければ、自己の改善を怠ることもない。自信と異なり、自分への思いやりは妄想につながることもない。

外向性が高まると業績が落ちる

外向性については成功要因と考えられるけど、この本では次のように述べられています。
「外向性は個人的な熟達度と負の関係にある」
という研究があります。要は外交的であればあるほど、業績が落ちるということ。

多くの友人をもつことは確かにメリットなのだけど、注意散漫の元にもなるということです。

人はやらなかったことを最も後悔する

これは様々な本にも書かれているし、よくいわれていることですが、真実です。
コーネル大学の心理学教授、ティモシー・ギロヴィッチはこう語っています。

「人びとは、失敗したことより行動を起こさなかったことを2倍後悔するという。私たちは失敗を正当化するが、何も試みなかったことについては、正当化できないからだ。さらに、歳を重ねていくにつれ、人は良いことだけ覚えていて、悪いことは忘れてしまう傾向にある。そんなわけで、単純に多くのことを経験すればするほど、年老いたときに幸福感が増し、孫に聞かせる武勇伝も増えるというわけだ」

武勇伝を増やす意味でもやった方がいい。

すぐれたリーダーになるかは、彼らが統率する人びとのタイプによる。
アダム・グラントがリーダーシップについて研究している時、興味深い傾向を発見した。次のとおりです。

「外向的な人と内向的な人のどちらがすぐれたリーダーになるかは、彼らが統率する人びとのタイプによるというの。従業員が受け身の場合には、社交的でエネルギッシュな外向型の人間が本領を発揮する。しかしながら、目的意識のある人々を率いる場合には、内向型のリーダーのほうが望ましい」

仕事の成功は大切な人間関係を犠牲にすることがある

「常軌を逸したように夢中になれる天職を持った者は目標を達成し、成功を手に入れるが、反面、幸せへの鍵である大切な人間関係を犠牲にすることがある」

「ロンドンスクール・オブ・エコノミクス」の進化心理学者、金沢聡の論文『なぜ生産性は年齢とともに衰えるのか――犯罪と天才に見られる共通性』では、
少なくとも男性の場合、結婚は、科学者、作家、ジャズミュージシャン、画家、さらには犯罪者の生産活動に著しいマイナス効果を及ぼすという結果が報告された。

『科学者は結婚後、ただちに研究活動が衰えるが、未婚の科学者は、晩年まで偉大な科学的貢献を続ける』」

あとがき

こちらのサイトでは、仕事!仕事!というテイストになっていますが、かと言って、遊びも私は勧めており、遊びの中にこそ人を動かすものが詰まっていると考えます。

この本では、次のような問いがありました。
「仕事バカ、それともワークライフバランス?」

アインシュタインは偉大な業績を残したが家族をかえりみず特に妻には酷い夫であった。
人が成功するには、高い能力IQ120と(それ以上高くても大差ない)常識はずれの時間投入が必要。

しかし、人は死ぬ時、こんなに働くんじゃなかったと後悔するという。
自分で意義を感じて自分でコントロールして働く限り過労死しにくい。

しかし、自分のコントロール下になく、やりたくない仕事していると、過労死の可能性は大幅に上がる。

自営業者はストレスが多いが自分でコントロールできる部分が多いので過労死しにくい。
実際にコントロールしていなくてもゲーム化してコントロールしていると信じることでも効果はある。

大切なのは選ばされるのではなく、選ぶこと。
最大化を選ぶのではなく、満足化を選ぶこと。

最大を選ぶより自分で選んだ満足できる選択肢を選んだほうが満足度が高い。

人生の幸福のbig4とは・・・

  • 幸福(大切な人と幸せに過ごすこと)
  • 達成(何かを達成する)
  • 存在意義(誰かに必要とされる)
  • 育成(誰かに伝える、教える)