ぼっちニーズが高まっていますよね。
一人カラオケに一人焼肉。
ぼっちはあまりお金を使わないという思い込みで客単価に貢献しないからという理由で敬遠されていましたが、スタッフの手間が掛からないことや、スペースを取らず、アイドルタイムにも利用があることから、企業側も積極的にぼっちを取りに行っています。
ぼっち席を制する者がビジネスの勝利に。
目次
拡大するぼっち席

という訳で、日本のおひとりさま事情が変わってきています。
ファミリーレストランのガストでは、「おひとりさま席」の方が多い店舗を作るなど、飲食店を中心に「快適」なぼっち席が拡大中。
気を使いたくないというニーズとノマド人口の拡大が需要を高めているのです。
『ガスト』が「おひとりさま席」を設置したのは2017年。
現在は東京神奈川など首都圏、都心部のガスト、ジョナサン中心に22店舗に「おひとりさま席」が設置されています。
本日は、その攻めの姿勢で新しいサービスをどんどん展開するすかいらーくのお話です。

実は…
「すかいらーくグループ」は一時11億円の赤字となりましたが、客層を家族連れ以外にも広げたことで、V字回復になったのです。
デフレなどの影響でファミリー層などが減少し、新たな層の取り込みにシフトチェンジ。
前述しました「お一人様」の獲得には、客席を1人・2人席の多い半個室風に改装。
「女性客」の獲得には、ヘルシーメニューを追加。
「糖質控えめほうれん草麺 特製味噌ラーメン」、「糖質控えめ バニラアイスケーキ」といった糖質オフメニューなどを開発。
また「シニア層」の獲得には、開店時間を早める。
開店を一部で朝8時から7時に早めた。
そしてサラリーマン層を獲得したアイデアですが、ガストのぼっち席だけではなく、バーミヤンではサラリーマンの夜需要を増やすために、お酒に関するあるサービスをしたところ、これがヒット。
V字回復へとつながったのですが…
では、そのアイデアとは…
トップ企業のアイデア

ボトルキープ制度
バーミヤンがサラリーマン客を獲得したサービスはボトルキープ制度の導入。
「黒霧島」「いいちこ」のボトルを無料で2か月まで預かってもらえ、約200人が使っていると言います。
ボトルの価格は居酒屋に比べて3割ほど安く、水と氷は無料。
もちろんお通し代もなし。
おつまみの価格が安いこと、ドリンクバーを併用できることなども人気という。
日本の人口減少・高齢化などに対応して業態を進化させている、数年前から始まった「ちょい呑み」を居酒屋以外で初めて導入したと紹介。
軽く飲むぐらいであればファミリーレストランは案外使いやすいということが広まったように感じます。
またお子様がいらっしゃる家庭では、居酒屋さんには行きづらくてもファミレスなら行きやすいなどの声も。
ファミレスが復活??

高級化したことによって、ファミリーレストランが復活しています。
バブル崩壊で壊滅したとすら言われたファミレスでしたが、株価回復とともに復活中。
従来の「若者、家族、低価格」路線を変更し「中高年、高級化」に転換したのが功を奏しています。
ファミレスの低迷期

1980年代にバブル経済とともに脚光を浴び、日本中に展開したファミレス。手軽な値段で家族全員で食事でき、メニューが豊富で味もまあまあ満足できるものでした。
日本の核家族の多いパターンの4人で注文して食事すると1万円を超える場合もありましたが、時代はバブル時代。
誰も気にしなかった。
それに一人で入ってコーヒー1杯で粘る事もできて便利でした。
そのファミレスもバブル崩壊とともに落ち込むことに。
不況で家族は倹約を始め、スーパーで買って来た材料を家で食べるようになりました。
また80年代にはコンビニ弁当は不味かったのだが、急速に質が向上してファミレスのライバル化してきた。
吉野家やすき家のような牛丼屋は安さを武器に客を奪っていきました。
少子化で子供が少なくなったのも大きな痛手になったのでした。
こうして四面楚歌のジリ貧状態で、ファミレスは店舗数を減らしていきました。
しかしファミレストップだった『すかいらーく』が、試行錯誤を重ねながら行き詰った一方で時代の変化に上手く対応した店もあった。
『ロイヤルホスト』は最初低価格メニューだったのだが、バブル崩壊からむしろ値上げし高級路線に転換して生き残った。
転機を迎えたのが2013年頃からで、牛丼のような安売り店が売り上げを減らす一方、ファミレスは復活してきているのです。
若者から高齢者へ

「880円のドリアより1280円のシーフードドリアの方が売れる」と今のファミレスでは言われています。
以前とは客層もがらりと変わり、ヤンキーやテーブルの間を走り回る子供達はいなくなりました。
変わってネクタイを締めたサラリーマンが打ち合わせをしていたり、夜は高級バッグを持った女性客が目立ったりする。
『すかいらーく』と『ガスト』も一時の定食屋路線を転換し1000円超のメニューを増やす事に。
『デニーズ』も高級路線に舵を切り、朝食が700円、ランチ1000円、ディナーは最低1500円から。もはや若者達が500円持って集合する場所ではなくなった。
若者に代わって増えているのが高齢者で、お金は持っていますが少量しか食べられない。
ファミレスにとって絶好のお客様なのです。
少量でも満足できるように、国産材料なのは当然として産地にもこだわったメニューを揃えたり、高齢者でも食べやすくしている。
あとがき

ガソリン価格とファミレスに相関関係があるのをご存知ですか?
ガソリン価格の下落でファミレスと回転寿司はウハウハなのです。
ガソリン価格と言えば、ここ5年間は比較的安定しており、130円を境に行ったり来たりという感じでしょうか。
OPECが供給量をコントロールしているため、極端上がったり下がったりはありませんが、50円くらいは上下しますよね。
例えば、160円から110円に下がると、50リットル給油した場合、税金を入れて3000円近く安くなります。まあまあでかいです。
そして浮いたお金で外食しているというのです。

放送作家・演出家・地域戦略アドバイザー
1977年生まれ 熊本県天草市出身
株式会社ドーンマジック 代表取締役