年明けは静かなスタートで迎えた株、為替ですが、コロナウイルスの感染患者が拡大するにつれ、世界に不穏な空気が流れ…
ニューヨークダウは過去最大の上げと、過去最大の下げを同時に記録するなど、激しい金融市場となっています。
その中で、私も為替の売り買いをしておりますが、基本的な考えは、収束はするだろうが、コロナがきっかけとなり、景気拡大が終わると予想しています。
前回の世界的パンデミックであったSARSの時はどうったのでしょう?

「歴史は繰り返す」という言葉を受けるなら、知っておくほうがいいに決まっています。
SARSの主な流れ
感染の初動報道において、現代医療が進んでいることもあり、楽観的な空気から反応は鈍かったのですが、感染拡大の報道が過熱する上で、リスク回避の動きが強まり、その後1ヵ月に渡り円高基調が継続。
3月頃の感染がピークとなった頃から円安基調となる。
その後はもみ合いながらも、5円幅前後のボラティリティの高い変動となりました。

SARS流行時との比較
・SARSの期間は8カ月だった。
感染発覚から03年7月5日の世界保健機関(WHO)による封じ込め成功の発表まで約8カ月の間。
感染者は37カ国で8096人、死亡者は774人と推定。
一方、今回の新型肺炎は、中国国内だけでもすでにSARSを上回る勢いながら、死亡者数はまだ半数以下。
・当時のドル円は円安基調だった
02年11月27日にインフルエンザ流行が発生しているとWHOが報告。
その当時は円安基調でした。
→新型コロナの時も円安基調で類似
・しかし、2週間後の12月5日高値125.70円でピークを打ったところで、円高へ。
40日後の03年1月17日安値117.38円と約8.32円の円高に。
→今回は112円22でピークを迎え、2週間後の3月2日107円82と約4.5円の円高に。
SARSの時の半分しか円高になっていないと考えるならば、 下値余地はまだ十分に考えられるのではないでしょうか。
また、SARSでは、日本の患者数はゼロでしたが、 コロナに至っては数千人規模になりそうとの観測があることから、円高に向かうと考えられます。
・その後は約6円前後の範囲で上げ下げを繰り返しながらもみ合い相場が4か月ほど続き、5月に入ると再び円高基調が強まり、5月19日安値115.03円まで円高基調が進むのですが、120円の上値は重く、一度もブレイクはなく110円台後半で推移しました。
・7月5日にSARS封じ込め成功との発表がありましたが、すでに折り込み済みだったのか、ドル円の反応は鈍く7月15日まで円高が進み、その後は緩やかに円安基調となったのです。
そして、03年8月1日に120.68円でピークをつけた後、一転円高基調となり04年2月中旬までトレンドは続き105.14円付近まで円高が続いた。
ということをまとめますと…ポイントは3つ
- 感染前の高値ピークまでは戻ならい
- 下落基調の方が強い
- 報道によってボラリティが出やすい
このことから考えられる戦略として、俗にいう爆上げした後に、ドル円をショートし、多少含み損を抱えようが持ち続け、自分トラリピのようなシステムで、ショートを打ち続けるのが良いのではないでしょうか?
また、一方下がりまくると、予防として世界の首脳が経済政策を打ち出してきます。
特にトランプ砲が炸裂しますので、下がり切ってヤバイという報道が出そうなまえに、少しだけのロングを仕込むのも手ですよね。これはすぐに損切対応することも。
また、新型コロナウイルスによって、世界経済に与える影響はかなり大きいと思われます。
例え感染の封じ込めが成功したとしても、リスク回避や警戒の動きは継続し、円高が続く可能性が大きいと思われます。
オーストラリアドルがピンチ??

肌で実感している人も多いと思いますが、国内のサービス業が瀕死の状態です。
そして、政府が散々力を入れてきたCOOL JAPANも崩壊する勢いです。
2019年には約959万人いた観光客。
SARS発生時から21倍に増えていたのです。
訪日外国人の旅行消費額は4.8兆円、うち中国は1.8兆円で約37%を占めていました。
野村證券によりますと、訪日外国人観光客数が10%減った場合(もうすでに減っていますが…)4,800億円分の消費が失われ、日本のGDPを年約0.1%押し下げるとの試算となっています。
団体旅行消費額1兆円がなくなれば、日本のGDPを0.2%押し下げる計算となり、年間1%成長するのがやっとの日本経済にとっての影響は計り知れません。
また、中国経済が及ぼす影響は日本だけじゃありませんよね。
2018円年末にアップルショックの引き金になったように、中国の消費の動向が世界経済を動かしています。
SARS時、中国の2003年4~6月期GDP(国内総生産)は1~3月期から2%低下し、運輸や宿泊などのサービス分野が最も打撃を受けました。
今回のコロナでも同様の打撃を受けることになると予想されています。
しかし!
当時と現在とでは、中国経済の規模が圧倒的に違います。
中国のGDPは2003年時点では、日本経済の半分以下の215兆円(約13兆元)だったのですが、2019年は1,600兆円(約99兆元)と7.4倍に拡大。
現在は約3倍の大きさとなっています。
SARS終息宣言後に元の成長スピードに戻りましたが、この時の中国経済は高度成長を突き進む勢いがあったからです。
16年間で急成長した中国経済が減速した場合、世界経済に与える影響は2003年の比ではありませんよね。
ダイレクトな影響として、中国経済と密接に関わりのあるオーストラリアの経済が縮小することが想定されており、豪ドルがいま正念場を迎えています。
かつては高金利通貨として人気だった豪ドルも、立て続けの利下げによって、その魅力はなくなり、そしてこのコロナによってさらに予防的利下げの予想が上がっています。
そして、これからオーストラリアは冬を迎えコロナが拡大する可能性があり、(コロナは季節に関係ない説が有力ですが)ドル円同様に上がったらショートいう戦略でいいのではないでしょうか。
そして、利益が出たら、どんどん使って国内消費に少しでも貢献できるように使いましょう。
例えば、こんな時こそ、飲食店やホテルなどを利用した場合、政府は個人レベルでも経費として認める政策なんて出来ないでしょうかね。
あとがき

まだ高金利通貨と人気だった時に、私は豪ドルを85円ほどで、まずまずの数を買っており、利子で数年するととんとん位まで持ってこれると思っていましたが、これも叶わぬ夢。
そして世界的に利下げが相次ぎ、複利では増やすことが難しい数年となりそうですね。

放送作家・演出家・地域戦略アドバイザー
1977年生まれ 熊本県天草市出身
株式会社ドーンマジック 代表取締役