夏の猛暑に欲しくなるのがかき氷。
でも、わざわざ家に帰ってスプーンですくって食べるのは面倒くさい。
だったら外で、片手ですぐにでも食べられるかき氷を作ろう。
という思いから誕生したのがガリガリ君。

少しイラっとするようなキャラクテーをご存知だと思います。
その裏付けとして、「嫌いなキャラクター第4位」に選出されたこともあり、特に女性層からの嫌悪感は凄く、不評のキャラクターなのです。
こうなると、愛されるキャラに変更しそうですが、しかし、キャラクターに関しては、大がかりなリニューアルを行っていないのです。
なぜ??
「くだらない」ことがモットーだから。
ガリガリ君の世界観は「元気で、楽しく、くだらない」。
このようなくだらなさ、低俗さが、ターゲットになる、小中学生の感性にマッチしているからです。
どの世代の方も、子どものころは、何であんなくだらなく、単純で、ナンセンスなものにはまっていたのか不思議に思うでしょう。
しかしそれが子どもの感性なのです。
普通の思考で考えると、ここまでふざけたキャラクターは出てこないのです。
「くだらないこと」がモットーの赤城乳業

そのくだらなさは、企画アイスにも出ており、あの有名な
- 「コーンポタージュ味」
- 「ナポリタン味」
- 「メロンパン味」
など、何でもありだろというくらい世に出しています。
特にコンポタ味は大ヒットを飛ばし、会社の売上に貢献したのですが、実はこれは失敗だったのです。
なぜ失敗なのかというと、アイスを販売する上で、会社の狙いと違ったからなのですが、
では、その狙いとは??
トップ企業のアイデア

ブームを作らないこと
2012~13年に『コンポタ味』からブームになりましたが、その後失速。
「ブームになると飽きられるのも早い」という教訓を頑なに守っているのです。
ガリガリ君はロングセラー商品のため、徐々に浸透していくのが一番。
1981年に発売した当時の、小学生が学校帰りに食べて『あのアイス、うまかったな』と話す感じ。
そういう口コミをずっと大事にしているという。
日本で初めてソーダに色付け

ガリガリ君といえば、さわやかなブルーで、いまソーダ味といえばこの色ですよね。
とはいえ、ソーダってそもそも色あるの??
そうなんです、
ガリガリ君はそれまでのアイスになかった、ソーダ味に青い色を付つけたのです。
美味しさをイメージさせることに成功したのですが、一体何をイメージしたのでしょう?
なぜ青色にしたの??

ラムネやサイダーであれば、子どもたちにウケる。
ただ、炭酸を固めるとただの白になってしまい、美味しそうには見えないので、何か色をつけなければならない。
子どもたちには外で食べてもらいたかったので、空や海をイメージした水色にしました。
今でこそ、アイスの「ソーダ味」と言えばブルーの色をイメージするのが一般的ですが、ソーダに水色をつけたのは、「ガリガリ君」が初めてである。
赤城乳業が伸びる理由

日本経済が縮んでいく中、2019年、13年連続増収を実現しました。
厳しい経営環境をものともせず、赤城乳業はどうして成長、発展を続けることができるのでしょう。
それは「言える仕組み」にあるのです。
例えば、上司といく取引相手との打合せで、上司に意見出来たりしますか??
赤城乳業は出来ており、同社を訪れる人たちはびっくりするそうです。
つまり、社員がなんでも自由に「言える」ような会社として機能しています。
赤城乳業の特徴は、年齢や肩書きに関係なく、社員がものを言え、風通しがよく、オープンでフランク、フラットな関係を大切にしているのだといいます。
自由になんでも「言える」ことが組織の活性化につながり、ひとりひとりの持つ能力を最大限に引き出す道だという考え方が根底にあるわけです。
「役職が上の人でも普通に話せる。若手社員が役員に平気でダメ出しをしている。社長でも意見が違えば反論する。とにかく言いたいことは言うのがうちの社風」
とはいえ、なかなか言えないですよね。
では、そうやって言える土壌を作ったのでしょう?
「言える化」の土壌を育む

ひとりひとりの可能性を信じ、それぞれの考え方や意見を尊重する気持ちがない限り、「言える化」という土壌を育むことは不可能。
しかも経験多知識を持っている人は、とかく若い人たちの意見を排除し、耳を傾ける努力を怠りがちでもあります。
そして相手の意見に耳を傾ける「聞ける化」があってこそ、「言える化」は成立するもの。
「言える化」と「聞ける化」は表裏一体であるということを、赤城乳業の役員や役職者たちは理解しているわけです。
経験のある人だけで決めて動けば、目先の仕事は効率的に回るかもしれません。
しかしそれでは人は育たず、新たな発想やアイデアも生まれてこないでしょう。
そうういう意味でも重要なのは、上の人間が「言える化」の重要性を認識し、日常のなかでもちょっとした努力や工夫、気遣いを積み重ねて「言える化」の土壌をつくりあげることだといいます。
なんで若手に任せることが出来るの??

それはプロモーションの予算を低予算にしているから。
例えば、「0円企画」というものがあり0円(低予算) で企画を考えてなければいけません。
また、0円になると、必然的に知恵を出さなければならない。
そして協力を求めなければならない。
そこから様々なコラボレーションが生まれ、物を言えようにならないと、企画が進めない仕組みが作られているのです。
あとがき

「ガリガリ君」は過去、販売本数のピークの翌年は必ずダウンするという傾向にありました。
しかし、2004年の3回目のピークの翌年、ダウンすることなく成長を持続させたのです。
通常春先に行うサンプリングを、なんと12月に札幌で実施するなど、需要の落ち込む時期にあえて徹底したプロモーションによって話題を提供したのでした。
これによってピーク後の落ち込みを回避する以上の大きな実績を作り出すことに成功したのです。

放送作家・演出家・地域戦略アドバイザー
1977年生まれ 熊本県天草市出身
株式会社ドーンマジック 代表取締役