世界の株価がスピーディーに動いており、経済政策で急騰、コロナ関連で急落を続けています。
株価が急落する時に、考えることと言えば、どこが底なのか?
逆に暴落で儲かりそうなところはどこなのか?

そして、アメリカ国債や金などの安全資産に資金を移動できないか?
というところで…

通常、ニューヨークダウ暴落によって金の価格は上昇するもの。
と考えられていたのですが、今回の暴落によって、つられて金も下落するという不思議な現象が起こっています。

不思議な現象といえば、ドル円の上昇についてはこちらに記載していますが、なぜ、金は今回上がらないのでしょう??

指標となるNY金先物価格は2月24日の1オンス=1,691.70ドルをピークに、じわじわ下落し続けています。
例えば過去1か月を見ると、代表的な株価指数のS&P500は約30%下落していますが、これにつられて金の価格も10%下落。

金は安全資産と考えられ、株価暴落局面では買われることが多く、例えば、アメリカの証券会社の研究によりますと、アメリカとヨーロッパの市場について、株価や債券価格と金価格の関係を検証したところ、投資家にとって金がリスク軽減に役立つとの見方をおおむね裏付ける結果に。

過去の経験則から儲かる定番のトレードとして、今回の暴落時に金を買われた方も多いのではないでしょうか。

金下落のワケ

ドル円が上がったのと理由と同様に、株式の追証による資金の還元が生じたから。
投資家がキャッシュを確保する目的で、金を売却している可能性があります。

暴落すると、投資家は株式市場における含み損への対応を迫られます。
特に、デリバティブ取引では、レベレッジが効かせられるため、元本以上の投資が可能であり、含み損への対応で新たなキャッシュのマージン・コール(追証)が発生します。

これが、今回の暴落で世界各地で発生することとなり、多くの投資家が売却対象として金を選んだのです。

これによって、金の信頼性は下がった??
という訳ではなありません。

金は常に流動性を確保できる高い信頼性を有している結果であり、決して金の安全資産性が否定されている訳ではないのです。

金に注目すると不況が分かる??

通常、世界同時金融危機の際は、初期段階では金は安全資産として買われます。
しかし、上記の通り株式損失を補填するために、金は売却され急落します。

今後の指標としては、コロナによる経済活動の制限が長引くと、ゴールドはもっと下落する可能性があるのです。
いま多くの企業が強制的に休業させられており、売上の見通しが立っていません。
そうなると、企業は今すぐキャッシュが必要となり、手元にある資産を売りに出さなきゃいけません。

実は、株価急落と同じ金も急落した状況が継続したのは、リーマショック時も同じでした。
今後、金の価格に注目し、仮に下落が止まらないのであれば、世界同時不況となった「リーマンショック級」の危機が目の前にある状況という目安にもなるのです。

いま政府は、リーマン以上の支援策を打ち出していますが、規模がリーマンを超えるまで拡大している可能性があります。

オイルの下落も注目のポイント!

ヘッジ先とされているものの一つに、金と合わせて石油があります。
例えばこれまでの危機では、原油が最高のヘッジとなったケースもあるくらいです。
しかし今回のコロナ危機では、原油価格は株価をも上回るペースで急激に値下がりしているのです。

なぜオイルは下落しているのか??

アメリカ政府は、オイルの下落を懸念して、自らオイルを買い進め、下落を食い止めようとしておりますが、戦争は終わらないもので、ロシアがこの危機に便乗し、オイルは過剰に供給しているのです。

ロシアは欧米諸国から経済制裁を受けているため、供給過多によって、たとえ価格が下がったとしても、今はシェアを拡大し、収まったらお客さんにしたいと考えているのです。

原油価格が下がると困るのはもちろん中東諸国で、例えば、19年12月に上場したばかりのサウジアラビアの国営石油会社アラムコでは、株価が新規株式公開(IPO)価格を下回りました。

金の未来はどうなる??

コロナ危機はまだ進行中のため、これから暴落、暴騰を繰り返しながら、ゆっくり2年くらいは右肩下がりを続けていくと以前の記事に書きました。
モノ余りの時代になり、デフレに向かうと予想され、資産とされているものの価値は下がる傾向にあります。

そのため、金は下がり続けるのではないでしょうか?

例えば、インフレがさらに進むことが予想される状況では、金は富の蓄積手段として有用ですが、コロナ危機でインフレになる可能性は低く、今のところこの点はあまり懸念されていない。