いま、リゾート地に旅行に行こう!!
と思うと、その旅先は決まってハワイが挙がりますよね?
石原裕次郎から始まるハワイブームは、JALが1954年に就航開始した時から一向に衰えることがありません。
現在、日本人の旅先としての人気は、お盆、お正月期間はぶっちぎりの1位のハワイ。
ハワイ州政府観光局によると、ハワイへの訪問者は年間983万人。
最も多いのは米国本土からの来島者で、637万人(65%)。
次に多いのが日本人の157万人(16%)。
米国本土以外の観光客ではダントツの1位で、アジアで日本に次いで多い、韓国人の23万人のざっと6倍以上。
今後も日本人の旅行者の増加は予想されています。
かつての人気旅行先グアム…

グアムの観光客が減っている主な2つの理由
日本人の旅行先としてグアムが流行った時代がありました。
そもそも日本の領土だったこともあり、新婚旅行が国内から海外へトレンド転換した60年代後半。
「海外旅行初心者=グアム」という図式が出来上がっていました。
そして、時は流れるもグアムの人気は衰えません。
それどころか日本人が大勢押し寄せるため、グアムの街中は日本人対応に様変わり。
そして、日本からの安価な直行便もバンバン飛び、航空券の安売り合戦が始まり、とうとう沖縄より安くなったのです。
そうして…どうなったか?
その後、グアムの渡航者数は減少していったのです。
その原因の一つに、「航空会社が渡航費を安くし過ぎたせい」があります。
数年前まで、グアムに行くのは29,800円が普通だったわけですが、今は4~5万円代。
人間の心理として、一度安いと感じたものが高くなることで、「もともと同じ価格だったものより高いと感じる」という傾向があります。
ガンガン価格を下げたせいで、日本人にとって「国内よりも安く行ける海外」。
のような印象がついてしまったことが現在の渡航者を減らしているのが原因の一つ。
2つめはグアムに「特別感」がないこと。
日本人街となったグアム

2000年代、グアムの渡航者は日本人が最大で80%近くを占めていました。
そのため、グアム政府は日本人観光客のために、日本語の看板を設置し、街中に日本語をあふれさせたのです。
入国審査一つをとっても、グアムでは「オヤユビ」と日本語で話してくれ、現地には日本人が日本人向けにサービス展開をしているお店やホテルが多い。
日本人向けのサービスに偏っていくのは仕方のないことだと思いますが、日本からの旅行者はグアムに「日本らしさ」ではなく、「アメリカらしさ」を求めていました。
そのため、海外感を求める人からすると物足りなく感じ、日本語を増やした結果、非日常感を求める旅行者に飽きられてしまったのです。
いまグアムはどうなってる??

日本人が減るのと比例して、増えたのは韓国人。
2015年くらいから一気に増加し、それに伴い街中に韓国語が溢れ、韓国人のためのリゾートと化していったのです。
バス停や看板にハングル。
ホテルのビュッフェは韓国人だらけ、ハンバーガーにキムチが添えられ、日本人は韓国語で話しかけられることが頻発。
韓国人が増えたワケ

2018年、日本からグアムへのデルタ航空直行便が廃止されましたが、韓国からグアムへの直行便は増えているのです。
そのため、いまグアムへ安いフライトを探そうとすると、韓国経由ばかりという状態。
それほどに韓国からの飛行機が多いのです。
韓国人の旅行先は「定着しない」が定説

韓国人は気質として、好きな旅行先を見つけるのではなく、その時代に一番便利の良い旅先を選択することが多く、人気の旅行先が毎年変わります。
つまり、数年後には韓国人がグアムには見向きもしなくなっている可能性があるのです。
あとがき

グアムらしさを追求するためには、どうしたらいいのでしょう?
いま日本の観光施策として、外国人対応が流行していいますが、果たして外国人はそれを求めているのでしょうか。
例えば、海外富裕層が日本に何を求めているかが分かる、海外富裕層向けに「新宿ディープツアー」というものがあります。
ゴールデン街を回るのですが、なぜこのような場所が人気かというと、ネオン街は世界中どこにでもありますが、ゴールデン街のような場所(昔からある古風なBAR)は、東京のこのエリアだけ。
この地にストーリーがあり、歴史があり、小さくてユニーク。
つまり富裕層が旅行に求めるのは、世界中の「オンリーワン観光資源」。
「世界中を見わたしてもここでしかできない」ことなのです。
今後グアムがそれを作れるのでしょうか。体験型コンテンツの創造。
グアムだからこそ出来ること…。

放送作家・演出家・地域戦略アドバイザー
1977年生まれ 熊本県天草市出身
株式会社ドーンマジック 代表取締役