コロナ対策の消毒としてメチルアルコールとエチルアルコールの違いはこちらでご紹介させて頂きましたが、
本日は、アルコール消毒液・除菌液としてよく耳にする「次亜塩素酸水」と「次亜塩素酸ナトリウム液」。
アルコール同様、名前は似ているのですが、成分や性質は大きく異なり、誤って使用すると健康被害におよぶ可能性があります。
目次
次亜塩素酸水とは??
「次亜塩素酸水」は、塩化ナトリウム水溶液を、電気分解するなどして作られたものです。
新型コロナウイルスの消毒目的で利用が広がっており、自治体でも導入が進められています。
2002年から食品添加物として認可されたもので、身近なところでいえば野菜類等の殺菌に使われています。
食品添加物となっているくらいだから安心??
これまでの消臭、除菌に使われてきたから、ウイルスにもきっと有効だよね??
と思いたいところですが、空間除菌のために、加湿器などを使って次亜塩素酸水を空気中に噴霧することは控えた方が良いのかもしれません。
次亜塩素酸水は食品添加物ではあるのですが、多くの安全性の根拠は曖昧なままです。
なぜなら、食品添加物等の規格基準によれば「次亜塩素酸水は、最終食品の完成前に除去しなければならない」とあるから。
また、次亜塩素酸水の生成には高額の専用装置(ほとんどが業務用)が必要なため、家庭で作るのは一般的ではありません。
コロナに対しては2020年4月15日の時点で、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)によると、有効性についてはまだ未定となっており、「有効性がある」「有効性がない」などと断定することはできないのです。
次亜塩素酸水使用時に注意すること
金属製(鉄、ブリキ、銅など)の容器は錆びる可能性があります。
次亜塩素酸水には使用期限があり、その濃度は、時間経過にともなって低減します。
次亜塩素酸水は紫外線によって分解されるため、遮光性の容器に入れるか暗所で保管する必要がある。
次亜塩素酸ナトリウム液とは
一方の「次亜塩素酸ナトリウム液」は、ハイターの原料である塩素系漂白剤等を希釈して作られたもので、以前から、住居内の消毒で比較的よく使われている商品です。
厚生労働省のサイトによりますと、家族に感染が疑われる場合に家庭内で注意したいことについての解説があります。
そこに手で触れる共用部を消毒する際に、具体的なやり方のひとつに「共用部分(ドアの取っ手、ノブ、ベッド柵など)は、薄めた市販の家庭用塩素系漂白剤で拭いた後、水拭きしましょう」とあるのです。
次亜塩素酸ナトリウムを主成分とした漂白剤を使っていれば安心??
例えば、次亜塩素酸を加湿器に入れて空間を消毒しようとしたり、マスクに噴霧して使用するなど本来の使い方と異なる使い方をした場合、ちょっと危なくなる可能性があるのです。
例えば、次亜塩素酸ナトリウムが主成分の塩素系漂白剤を加湿器に入れ噴霧し、口に入ったり、目に入ったりするとどうなるのでしょう。
公益財団法人日本中毒情報センターの塩素系漂白剤の項によると、
「飲み込んだ場合は、口の中、のどから胃のあたりまでただれて痛くなり、ついには物を飲み込めなくなる恐れがあります。吐き気や嘔吐も起こします。原液や濃厚なものが眼に入ると、ひどい場合は失明する危険もあります。」
次亜塩素酸ナトリウムを主成分とする台所用漂白剤の説明を見ると、目に入らないように、飲み込んだら、皮膚についたらとさまざまな注意書きがあり、換気の良い場所で使うようになどと細かく注意が書かれています。
そのため、日常品にも関わらず、使い方を間違えると身体に重篤な影響を及ぼすこともある薬品なのです。
最近は消臭剤を利用、室内への化学製品の噴霧に慣れている人もいるが、安易に噴霧して空気が消毒できるとは思わないことがポイントです。
次亜塩素酸ナトリウム液使用時に注意すること
・家庭用手袋等を着用し、直接手で触れないように使用する
・消毒作業以外には使用しない
・使用時は十分な換気を行う
・乳幼児の誤飲に十分注意する
・他の薬品と混ぜない
・金属部位に使用する場合は、劣化する可能性あり
・スプレーボトルでの噴霧はNG
【参考サイト】
「次亜塩素酸水」現時点では有効性は確認されず NITEが公表(NHKニュース)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200529/k10012450841000.html
NITEが行う新型コロナウイルスに対する消毒方法の有効性評価について(製品評価技術基盤機構)
https://www.nite.go.jp/information/osirasefaq20200430.html
「次亜塩素酸水」等の販売実態について(ファクトシート)(製品評価技術基盤機構)
https://www.nite.go.jp/data/000109500.pdf

放送作家・演出家・地域戦略アドバイザー
1977年生まれ 熊本県天草市出身
株式会社ドーンマジック 代表取締役