みなさん、タオルはどういうものをお使いですか??
拭けたら何だっていいじゃん!
って思うところですが、私も同感です。
でも、女性はタオルにうるさいですよね…
彼女、奥さん…

以前、放送作家である私が使っていたのはテレビ局のお古でした。
テレビのロケやスタジオ収録といえば、実はお弁当と同じくらいタオルの消費量がかなり多いのです。
ロケでは雨を想定して余分に用意しておく。スタジオではグルメで口を拭くため。
最近は少ないですが、ぬるぬる系や熱湯風呂系の企画では水が多く使用されますよね。

そんな時、タオルがどっさり必要なのです。
そして一回使用したらゴミ。
それを貰っていたのです。

家で使用回数を重ねるうちに吸収性が悪くなるため、彼女が家に来てタオルを使うようなことになった際には、たいそう評判が悪い。
しかもダサい。

それからというもの、今治タオルだから文句言うなよ。
という想いを込めて今治タオルを愛用するようになったのです。

そんな、一般家庭にも普及しまくる

今治タオルのお話です。

タオルの細分化が進む

今治タオルがヒットして以来、タオルの細分化が進んでますよね?

  • ドライヤーの時間を短縮するタオル
  • 洗顔後専用タオル
  • 部屋干し専用タオル
  • 髪の毛を痛めないタオル

世界最高の品質基準

今治タオルがヒットして以来、タオル業界がいま活気づいているのです。

世界最大のタオル産地と言われる今治市。
百十余年の歴史を背景に、伝統的な製造技術と最新技術を巧みに融合させながら、使い心地を重視したタオルはご存知ですよね?

今治タオルの品質基準は、タオル片が水中に沈み始めるまでに要する時間(沈降法)が5秒以内。
洗わなくても使い始めから水を吸うタオルと定めています。
おろしたてのタオルはあまり水を吸わないと言われるのに凄いのです。

存続の危機にあった今治タオル

生産量のピークは1991年の5万456トン。
その後は安い中国産になどに押され、減少に次ぐ減少。
2009年には5分の1以下の9381トンに。

76年に504社を数えた今治産地のメーカーは、2000年に入る頃には7割強が倒産や廃業で姿を消したのです。
当時、今治のタオル製造業者でつくる四国タオル工業組合には、「まだ大丈夫だ」という雰囲気はなく、その段階をとっくに通り過ぎて、「もうダメだ」という悲壮感が漂っていたという。

そうしたどん底だった中、タオルの品質に良さのみを打ち出そうとし、タオルの販売についてある基準を設けました。

それは、先ほどの水につけるとは別の基準で一目瞭然なものです。
そうしたところ品質が際立ち認知度も上がり売上アップにつながりました。

では、そのある基準とは・・・

トップ企業のアイデア!

白いタオルのみを販売すること

「白いタオル」をキープロダクトに設定

それまで多くの今治タオルメーカーは、複雑で繊細な柄を表現できる技術が、今治タオルの特徴だと考えていました。
今治では“先晒し先染め”の伝統があり、糸を先に染めた上でジャガード織りという技術を使って柄を織り込んでいくという点で優れた技術が活かされていたのです。

しかし「これが今治タオルです」ということを一目でわかってもらうため「白いタオル」に統一。
ブランディングスタート前の2004年の時点での認知度は36.6%だったのが、2008年には50.2%、そして2012年には71.0%という具合に、とんとん拍子に知名度はアップしました。

ブランディングの伝え方

「水の品質を伝えるときに、いきなりコーヒーを淹れて出しますか?炊きたてのごはんのおいしさを伝えるのに、カレーをかける必要がありますか?」

タオルも同じです。ベースとなる品質を伝えようとするのに色や柄はいらない。
今治タオルの素晴らしさを、余計な要素を加えずに伝えるには、「白」しかないのです。

今治ロゴマークがブランドを守る

このタグを付けるためにメーカーは一枚につき五円を組合に支払うことになっています。
品質からはずれた製品が市場に出回っていないか、組合は抜き打ちで購入して定期的に検査を行っているとのことです。

こうした地道な取組によって、地域ブランドは守られているのです。

海外展開でPRしたのはヨーロッパから??

海外展開に向けた取組で、ターゲットをまずヨーロッパに設定しました。

なぜ??

アジアは将来的に大きな商圏になり得るが、高くても品質の良いものが受け入れられる環境は、ヨーロッパほど成熟していると言いにくい。
まずは家具や日用品の一流メーカーが多く存在するヨーロッパで認められることを、今治タオルのグローバル・ブランディングの目標に設定したのです。

ブランドを守り続ける利点

今治タオルがヒットするにつれ、「白いタオル」へこだわりは薄れて行きます。
それはもっとバリエーションを増やして売りたいところですよね。
ところが、ブランドを維持するために「ユーモアをまじえた製品の企画」に対しては禁止しています。

あくまでも製品の品質とブランド維持のためでした。

取材される前提で準備をしておくことを徹底

また、東京にアンテナショップを作る理由として、メディアの取材に対して、過去の素材を提供できることは、大きなメリットになる。
とくに映像系のメディアの場合、使える素材がない場合は、どんなに”旬”な情報であっても、扱いは小さくならざるを得ない。

今治タオルは「地方ネタ」である。
事あるたびに東京から取材に来てもらうことは、現実問題として難しい。
プロジェクトがスタートした当初から、主な動向はできるだけ資料映像として残しておきました。

視察や会議、展示会の様子など、もらさずに記録しておいた写真や映像は、NHKに限らずさまざまなメディアの取材で多々活用されることになったのである。
「伝える」ための準備は、後手に回ってしまっては間に合わない。

メディアの取材に対して先手を打つことは、たとえ予算が少なくても十分対応できることなのです。
取材する側からすれば、「素材」が揃っているほうが、取り上げやすいですよね。

あとがき

今治には、タオルをもっとPRしようと、タオル美術館なるものがあるのです。
タオルとアートを融合したミュージアムで、オルを芸術として表現した展示があるほか、タオルの製造工程の見学やショッピングができたり、広大なヨーロピアンガーデンやレストラン、カフェもあったり、素敵なフォトジェニックスポットもたくさんのようです。

また、地方PR施設として、

ドイツ南部には「ソーセージ・ホテル」があるのです。
食肉業を営む男性がソーセージの「ブラートブルスト」をテーマにしたホテルを開業。
客室は、壁紙にソーセージが描かれ、ベッドにはソーセージの形をした枕が置かれ、バスルームの石けんもソーセージの形をしている。

階下にあるレストランでは、ソーセージを使った多くの料理が楽しめる。
朝食は当然ながらソーセージが提供。
オープン以来予約は好調だという。

テーマホテルは、日本ではまだあまり根付いてないため、地方のPRとして、十分可能性があるジャンルではないでしょうか。