イスラエルがスタートアップ大国というのはご存知だと思います。
人口800万人、国土面積は四国と同じくらいいう小国ながら、なんと約8000のスタートアップ企業があり、国民1人あたりのベンチャー投資額は世界一なのです。

日本人には馴染みの薄い国ですが、ビジネス面でいま世界中から注目されています。
Apple、Google、Microsoftといった、世界的な企業がイスラエルに拠点を構え、そしてイスラエルのベンチャー企業を次々に買収しているのです。

さらに日本からも味の素やソニーによる買収が進み、トヨタやKDDI、NECによる投資や提携のニュースが相次いでいます。

起業マインドが凄いのはなぜ?

人口が800万人しかいないイスラエルですが、やはりユダヤの商魂が凄いのです。
歴史的な背景を紐解くと、ユダヤ人は長い間虐げられてきました。

土地を持っても取られてしまってはどうしようもない。じゃあ何をしたらいいのか、と考えた時、商売をするためのマインドは誰にも奪われないし、どこにいても役に立つ。
いつ誰に何を取られるか分からないという状況で過ごしてきた人たちなため、その歴史的に起業家的マインドが育ちやすく、近年のイスラエルの盛り上がりは、そういったものに基づくものなのです。

ビジネスマインドの特徴は??

一言で言うとものすごくストレートです。
他人の言うことをまったく気にしないし、厚かましいのが特徴。
でも、それが良しとされている風潮があります。

ヘブライ語に「フツパー」という言葉があり、意味は「勇猛かつ無礼」。
例えば、大学の教授に対しても、普通は◯◯さんだったりとか、日本だったら◯◯先生とか付けると思いますが、イスラエル人は完全に下の名前で呼び捨て。
これは、上下関係が厳しい軍隊でも一緒。

各国の軍隊ではサーとかコマンダーとかの敬称を付けて呼びますが、イスラエル軍では下の名前を呼び捨てで呼んでいます。
これが、イスラエルで起業文化が発達している理由なのです。
例えば、クラウドストレージ向けのセキュリティーサービスを作ろうと思うと、もうすでにこの分野にはMicrosoftとか大企業が参入しており、仮に日本人の思考だと、普通は「自分たちには勝てっこない」って思ってしまいます。

しかし!!

イスラエル人はそれでも挑戦し、結果的にMicrosoftに買収させるようにしているのです。
このように「他の人が作ってる分野のプロダクトだから」という理由を言い訳にしないマインドがあります。全然気にせずにビジネスを始めてしまう大胆さがイスラエル人の起業家精神なのです。

イスラエルと日本。ビジネスの進め方の違いは??

「自国以外のビジネスパ-ソンと対峙する際に相手の国民性を理解しよう」
というハ-バ-ド大の研究スライドを引用します。

  • イスラエルの人たち→最初の打ち合わせから前置き無しで話を進めます
  • 日本の人たち→初回の打ち合わせは「まずは顔合わせ」と言う雰囲気。

そのため、イスラエル企業と日本企業で新規事業の打ち合わせをした時、イスラエル人は困惑します。
「彼らはビジネスの話をしに来たんじゃないの?何しに来たの?」

プレゼン資料の違いとは??

日本→スライド序盤のページで、会社概要説明から始まり設立年や従業員数、そして事業全体は~という流れ。
それをイスラエル人が見ると…「それはもういいから、今日の打ち合わせの本題は?」となってしまうのです。

イスラエル人→「打ち合わせにきた目的、イスラエルの企業側が持つ技術のアピール。クライアントの強みと組み合わせる自分たちの強みや技術の話」
いきなりそこから話し始めるのです。

政府が積極的に民間ベンチャーを支援するシステム

元々イスラエルは、「政府がやると決めたらやり抜く姿勢」があります。
建国当時から水はけの悪い土地で、治水のインフラ整備や、移民増加のためのヘブライ人向け大学制度や学校制度があり、例えば、公用語のヘブライ語も実は過去に話者人口が絶滅寸前にまでなったのですが、政府主導で、そこから「公用語にします」という号令の元復活させたのです。
それだけ、政府は国が衰退することに神経をとがらせています。

政府の圧倒的なかじ取りと実際のアクション。

イスラエル建国以来根付いた方針が、いまスタ-トアップ支援として注がれています。
1990年代に始まった「ヨズマプログラム」が代表的なプログラム。
ヨズマはヘブライ語でイニシアティブを意味し、これは政府が「国外から資金を集めた民間ベンチャーを支援する制度」なのです。

このためイスラエルの民間ベンチャーは、アジアや欧州、シンガポ-ルなど各国に特化したファンドを組成してお金を集めています。

国民の能力を把握する政府

イスラエルでは、個人の能力を最大限伸ばすために、あえて自由な時間を多く設定しており、このような仕組みがあります。

「個人の強みを知れる環境」と「人生を考える時間」を設定。

イスラエル人の若者の「一般的」なライフコースとは、

高校卒業
⬇︎
1年の自由時間
⬇︎
兵役(男約3年間・女約2年間)
⬇︎
1年の自由時間
⬇︎
就職

この一年の自由時間に、彼らは旅に出るのです。
大学へ進学する場合は兵役後になるため、就職はもっと先になります。
大人への階段を急いで登ろうとし、これからの人生をどう生きていくか迷ってる大学生や高校生が多くますが、スロースタートは自分自身を見つめることのできる価値ある時間になるのです。

さらに、18歳からの兵役期間(男性3年・女性2年)中に、国が一人一人の能力を全て分析。
例えば、プログラミング・ハッキング・物理理論に強いなどを把握し、その後得意分野を定めて伸ばす教育を行なっています。

失敗受け入れる国民性

失敗を怖れないのがイスラエル流。
失敗すると「よくやった。次の糧になる」と言われるという。
最近、日本の面接でもよく聞かれることですが、今までどんな失敗したのかと、という質問は日常茶飯事。
失敗することで次のベンチャーで成功する確率も高くなるという。

例えば、クラウドストレージ向けのセキュリティーサービスを作ろうと思ったら、もうすでにこの分野にはMicrosoftとか大企業が参入しているわけで、日本人だったら普通は「自分たちには勝てっこない」って思いますよね。
でも、イスラエル人はそれでも挑戦していくし、結果的にMicrosoftが買収するんですね。

盛り上がっている分野は??

最近特に盛り上がっている分野として3つご紹介します。

1つは「サイバ-セキュリティ」。政府も世界中に技術をアピ-ルしたいと考えており、サイバ-セキュリティのカンファレンスに首相自ら登壇したり、前の大統領がサイバーセキュリティ企業に出資しメンバー入りなど、トピックが多いのが特徴。

次に、農業と水分野が盛ん。
イスラエルは水・農業について建国期から点滴灌漑から濾過技術、バイオなど増水・省水・再利用技術が進んでおり世界的な課題に取り組んでいます。
そのため、世界中がイスラエル技術に注目しています。

最後にヘルスケア。
医療系に使われてる技術を、例えば、そこまでの精度は要らないから、簡単に診断できるようなものだったりとか、モバイル、スマホで診断できるようなものもニーズがあって広がってきています。

また、ニューロフィードバックと呼ばれる治療、診断方法を開発した「Myndlift」という企業があります。ADHDや多動性障害を診断するとき、元々はお医者さんがやっていたのですが、対応しているお医者さんが少ないのと、お金がかかるのを解決するために「診断用ゲーム」を作りました。

操作は簡単。
スマホのゲームで遊んでるだけ。遊んでいる最中、その人の神経がどんなふうに動作してるのかを測り、フィードバックできるというもの。しかも、診断するだけじゃなく、この能力がちょっと弱い、ということがわかれば、その症状に合わせたゲームを作ってその神経の動きを強化できるという。

各都市で特色があるイスラエル

国土面積が日本の四国程度しかない国ですが、各都市で特色をだしているのも強み。

・ハイファ(Haifa)
コンピュ-タ-サイエンスや工学分野でイスラエル工科大学(テクニオン大学)に優秀な研究室があり、自然と優秀な学生も多く集まる北部の都市。その学生や研究成果を活用するため、インテルやグ-グルの拠点も集中していて。半導体などハ-ドウェア寄りのスタ-トアップが多い。

・ベ-ルシェバ(BeerSheva)
セキュリティ技術と農業が盛んで、バ-イラン大学があるイスラエル南部の都市。
ベ-ルシェ-バより南はほぼネゲブ砂漠で、この砂漠を有効活用するため「砂漠の中で魚の養殖ができる池」、「農地利用するための研究」と農業系の企業が多い。
サイバ-セキュリティの研究開発においても世界的に有名で、インテルの拠点やpaypalのセキュリティ技術R&Dセンタ-などがあります。

・レホヴォト(Rehovot)
バイオや生理化学研究の最先端、アメリカ以外で生理化学を研究するならここと言われるほどの拠点。
当然バイオ・化学系のスタ-トアップが多く、ジョンソン&ジョンソンの技術開発拠点もあります。

首都のテルアビブは?

「テルアビブ」はIT系スタ-トアップ都市。
街中にたくさん起業家や投資家がいて、店内で資金調達の話している人たちを見ることも多い。
お酒を飲みにバ-に行ってたまたま話した相手が「俺は起業家だ、こういうビジネスをやっている」とそのままビジネスの話で盛り上がり、じゃあ後日オフィス行くよ。という出来事が日常茶飯事です。

あとがき

「戦争は国を発展させ、お金持ちを多く輩出する」

大前提として戦争は絶対に反対です。
ですが、過去の事例を見てみますと、戦争で国が発展しているケースがほとんどなのです。
イスラエルでは、建国してから7度も戦争を経験しており、周辺諸国は敵ばかりという状態が続き、イスラエルは軍事のための技術に集中してきました。
その軍事技術を民間にも活用し国の産業を発展させてたのです。
またアメリカは3年に一回は戦争を行なっていますが、そのたびに技術が向上しているのでした。

あとがき➁

周囲の国が全て敵性国家のイスラエルは、世界で唯一女性の徴兵制がある国でもあります。
テルアビブなどの繁華街を歩いたり、ローカルバスに乗っている時など、よく軍服を着て自動小銃を持った女性兵士たちを見かけることがあります。

緊急召集の際にすぐ駆けつけられるようにするためなのですが、ピーチでビキニ姿のときもマシンガンを持っているのは、アメリカのブロンドピンナップガール以外だとイスラエルくらいなのではないでしょうか。

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