みなさん、失敗は怖いですか?
やっぱりおっさんになると、失敗怖いですよね。

若い時散々失敗して怒られた経験があるからでしょうか?
正解なんて自分で作ってやる!と言わんばかりに、とりあえず何かやってみるのを好んできたのが、おっさん世代。
食事だって、買い物だって、女性だって良さそうなら、ノリで試したおっさんたち。

このノリで試すことが、今の若者にはなくなりつつあるのです。
若者は極度に失敗を恐れ、失敗しないように生きていると言われています。

まずはスマホ。
しっかり検索してから実行に移す。
他人の感想や評価を見てから何かをやったり買ったり。
これが正解。

そのため、みな同じも行動をし、似た物を食べ、買うものは一緒。
恋愛も同じく、フラれた辛さを避けるために、恋愛せず結婚もしない人が増加。

失敗の対義語は成功ではなく、肯定となり、SNSでは、自分を肯定してくれる人を肯定する。
将来に希望や夢を持つと、失敗したときに傷つくため、最初から成功を期待しない。
そのため、将来収入が増える希望も無いので、なるべく浪費せず節約するという発想になる。

これでどうなる。
景気は低迷する訳です。

そんな失敗を恐れる若者が増えるなか、あえてノリでやらせて、失敗をどんどん経験させる会社のお話。

アポロガスのすごい研修

福島市内を中心にLPガスや灯油、重油などを提供しているアポロガス。
2011年から取り組んでいる新入社員向けの新人研修が、大きな話題を呼んでいます。
いわゆる「業務研修」はほとんどありません

その代わり、若い彼らに「自分で考え、行動する」という習慣を徹底的に身につけるよう、
各自治体には必ず存在する、ある施設にて、重要な役に任命されるのですが、

その重要な役とは…

トップ企業のアイデア

ラジオの冠番組の担当

新入社員には週に1回、地元のFM局でラジオDJを担当するのです。

自分なら絶対嫌だなと思うところですが…
なぜ、こうした研修内容にしているのかというと、「自分で考え、行動する」という習慣を徹底的に身につけられるように。

ラジオ仕事で覚えることとは??

私もラジオ番組を担当しているのですが、作家という立場から原稿を書くのみです。
それでも私の場合、1分の原稿を書くのに、テーマ決めから、リサーチ時間含め最低90分。
3分原稿を書いていますが、6時間はかかる想定をしています。
実に非効率なお仕事だと思うところもあるのですが…私の場合。

このラジオ制作を新入社員たちは、生放送でのDJをはじめ、番組の企画、テーマ、ゲストの選定、原稿など、ラジオ番組づくりに関するさまざまな仕事を体験することになるわけです。
週一回とはいえ、恐らく作業は毎日で、大変を通り越し、寝れない日々が続くことが想定されます。

さらに、取材にも行くと言います。
地元の大学や小学校、幼稚園などでの講師体験。アポロガスグループのテレビCM出演など広報活動への参加。
著者の外まわりに同行し、県内外の著名人から話を聞くなど多種多様。

物凄く大変ですが、もう辛さを通りこして、ノリでやるしかない状態です。
おっさんたちがかつて実行していた、失敗を考えずノリで乗り切る方法です。

かなり強力な人間に仕上がる研修だと思います。
人への接し方、文章の書き方、声の出し方に…
ビジネス力が鍛えられそうです。

さらに、地元企業との接点も増え、会社としてもメリットがありすぎます。

なぜそこまで、人を育てるの??

世界が急激に変化しているなか、会社を存続させ、雇用を守っていくためには「変化対応能力のある人」をつくっていけばいいのではないかという考え方。
そのための方法を試行錯誤しているうちに、現在の研修内容になっていったというのです。

「未知な体験」をたくさんしてもらう

「ラジオDJ」研修。
新入社員が、入社2週間目から自分の名前のついた冠ラジオ番組を持つというものです。
またラジオDJの前にも研修があり、最初に行うのが内定後の「着ぐるみ研修」
アポロガスグループが毎年秋に実施しているお客さま感謝祭で、着ぐるみを着てお客さまをお迎えするというものです。
そして入社後2週間目にスタートするのが、この「ラジオDJ研修」

自ら考えることのメリット

「未知」の「無駄」な体験こそ将来プラスになります。
初めてのことや慣れないことをすることはストレスとなり、とてもしんどいから。

当然のことながら、やり遂げるまでには多くの大変なことに遭遇し、苦労することも少なくないはずです。
しかし、そうした過程において、壁を乗り越えようと考え、行動し、失敗したときにはもう一度考えなおし、再トライする。

そうした繰り返しのなかで、人はさまざまなことを学び、成長していくもの。そこが重要だと考えているわけです。

そのため、新入社員たちがそうした研修を通じ、失敗を重ね、さまざまな学びを得てくれることに期待しているそうです。

失敗は買ってでもするべし

社長曰く「俺はなんて無駄なことをやってしまったんだ…」と感じていたことが、その後の人生においてさまざまな発想を生み出すきっかけになったことが少なくないということ。
そしてそのたびに、「あのときの経験は無駄ではなかったんだな」という思いにかられるというのです。

未知の経験にしても無駄な経験にしても、若いうちのほうが受け入れやすいもの。

ある程度、社会人経験を積んでしまうと、思い込みやプライドなどに邪魔されて、初めてのことや慣れないことは避ける傾向が強くなってしまうわけです。
また、そうしたことから素直な学びを得にくくもなるでしょう。

そういう意味でも、社会人として「真っ白」な新入社員だからこそ、こうした研修がしやすいというわけです。

そして、それらを経験した新入社員は、一般的な研修しかしていない人よりも多くのことを、そこから学び取ることができるということです。

世界最先端の研修

アポロガスの新人研修は、アメリカのキャリア理論の大家であるジョン・D・クランボルツ博士の提唱した「計画的偶発性理論」をナチュラルに実践しているそうです。

いま、サバイバルや探検など過酷な研修や、グループで何かを成し遂げるといった研修がありますが、やることが不明確で、失敗すると責任が伴う、このラジオDJが一番優れた研修だと思います。

自治体にはそれぞれコミュニティFMというものがあり、番組枠を購入したとしても数万円で出来るところがほとんどです。

どうでしょう?
会社で番組枠買って、この研修をするのは。かなり面白いと思います。

2 コメント

  1. 上手くまとめていただきありがとうございます。
    アポロガスの会長兼 元気エネルギー供給本部長の篠木です。

コメントは締め切りました。