芸人のやり取りでよく見かける。
「押すなよ」。

「押したら困るから」という、ネガティブ要素を植え付けることによって、落ちたら、状況をさらに最悪にさせることが出来る、神ワードなのですが、企業広告にも最近使われ始めています。

  • 「飛行機でなく電車移動をした方がいいんじゃないの??」
  • 「いま、スカイプもメールもあるから、わざわざ遠くの人に会う必要あるの??」

という広告を打った航空会社がありました。

それが…KLMオランダ航空。

こちらがそのyoutube広告

同社のCEO曰く
「航空業界は弱肉強食。絶え間なく前進しないと業界から消えてしまう」。

世界で繰り広げられている空の戦争。
LCC台頭から、年々その競争は激化しており、航空会社だったら、より自社の快適性や利便性を追求した宣伝の方が良さそうですが…
なぜこのような飛行機をディするようなものになったのかというと・・・

トップ企業のアイデア

環境のことを考えている企業ということをアピールするため

KLM100周年広告に世界が称賛

CEO曰く
「私たちの提案は大胆過ぎるように思えるかもしれません。しかし大企業には将来の世代のことを第一に考える責任があるのです。私たちはすでに顧客1人あたり17%のCO2削減に成功しています。でもこれは十分ではない」
と。

飛行機が環境に負荷を与えていることはご存知だと思います。
そのため、いかに飛行機によるエネルギー消費を抑えるか、各社しのぎを削っている現状があります。

また、その活動マインドは特にヨーロッパ中で浸透。
スウェーデンの環境活動家のグレタさんがニューヨークの国連本部で開かれる気候サミットに出席するためヨットで来たのをご存知ですよね。

約5000キロを2週間かけて炭素排出量ゼロのヨットで移動し関心を集めたのですが、帰りはヨットが使えず、スタッフは飛行機というものでした。

ヨーロッパでは環境への影響から、飛行機に乗ることは「環境問題を考えていないバカな人」と捉えられることもあり、飛行機より鉄道を利用しようとする動きが起こっています。

そこで、登場するのはKLMオランダ航空の「Fly Responsibly(責任ある飛行)」意見広告の1シーン。
世界各国をKLMの飛行機で旅しているかのような場面が次々と映し出されるが、実際はスタジオ内のミニチュアのセットですべて撮影されていることが、ラストで明らかになる。

そして、

  • 「いつも直接顔を合わせて話をすることは必要ですか?」
  • 「飛行機の代わりに電車で移動することはできませんか」

とビデオ通話などを利用した会議や、鉄道での移動など、「飛行機を使わない」よう呼びかけているのです。

企業の責任ある飛行を打ち出したKLM

KLMオランダ航空が次の100年に向かって打ち出した「Fly Responsibly」計画。
目的はCO2排出量を削減で、3つの活動などを進めていくという。

1. 短距離路線の縮小

500キロ以下の路線は、フライト以外の移動方法も視野に入れて路線計画を構築。
2020年3月からは、現在週5便を運航しているアムステルダムーブリュッセル間を1便減便。
この距離は東京大阪よりも短い距離なのですが、鉄道網が十分ではなく飛行機に頼っていたのです。
そのため、オランダの国際空港、アムステルダム・スキポール空港の高速鉄道「タリス」と提携。
チケットの購入や乗り継ぎをサポートするのと合わせて、ヨーロッパでの高速鉄道の整備を進めるよう、提携を進めています。

2. バイオ燃料の利用促進

同社はヨーロッパの航空会社として唯一、大陸間の定期便(ロサンゼルスーアムステルダム間)でバイオ燃料を使用しています。

しかし、バイオ燃料だけでは、路線を拡大するためには量が足りません。
そのため、アメリカ・ロサンゼルスのバイオ燃料プラントに続き、オランダ国内のバイオ燃料プラントへの投資を決定しました。

3. 省エネ飛行できる新機体の導入

燃料効率の高い次世代型長距離旅客機「Flying-V」の研究開発をするオランダの工科大学をサポート。
同機は客室や貨物室、燃料タンクの全てを主翼に納めるという独特の形状により、空気抵抗を少なくし、燃料を通常の2割減らすことができるのです。

飛行は2040年から50年の予定。

狙い通りに、企業好感度はUP

この「次世代のことを第一に考える責任がある」ことを追求した結果…
「サステナビリティ」が素晴らしいとして就職人気企業になったのです。

宣伝後、KLMには世界中から好意的な反応が起こりました。

日本ではあまり感じられませんが、今の就職先選択の基準として、収入と同じくらいサステナビリティを大切にする傾向があります。

実際KLMは、このプログラムが注目を集めたことで、多くの学生が、KLMと一緒に働きたいと思ったのです。
今後、この例から分かるように、エコ活動に力を入れる企業が生き残っていくでしょう。

攻めのPR方法はKLMの企業体質

1946年のポスターには当時の最新鋭機、44人乗りのダグラスDC-4型機の透視イラスト

1919年に「王立航空会社」として設立されたKLMオランダ航空は、現存するエアラインとしては世界最古の歴史を誇ります。
アムステルダム-ロンドン間から運行を開始し、1929年にはインドネシア路線を開設。
ヨーロッパとアジアをいち早くつなぎ、さらには大西洋路線、カリブ海路線とネットワークを拡大。
大航海時代にオランダが次々に新航路を開拓したように、当時からKLMは、パイオニア精神あふれるエアラインだったのです。

この企業風土は、広告展開でも発揮されます。「飛行機乗るなよ!!」もそうですが、飛行機旅行など夢の夢だった時代に、KLMは普及したばかりのカラー印刷を用いてさまざまなポスターを制作。
「便利で快適な空の旅」をデザインの力でアピールしたのです。

あとがき

航空業界が排出する二酸化炭素量は2018年時点で8億5900万トンと、二酸化炭素排出量全体の約2%を占めています。

いま二酸化炭素が地球温暖化の悪の枢軸として扱われて、地球温暖化のの原因となっていますが、果たしてそうでしょうか?

実は常に気温変化の方が先行しており、それに伴って二酸化炭素量も増減しています。
つまり二酸化炭素の増加イコール気温上昇という図式は成り立たないのです。
温暖化は、二酸化炭素よりも原因が結構あります。

その一つに、温室効果ガスにより、大気の温室効果が強まったことが、地球温暖化の原因と考えられており、その原因となるのがメタンガス。実に二酸化炭素の約23倍の温室効果がありますが、あまり問題視されていません。つまり、温暖化の原因は二酸化炭素ではないということではないということになります。

では、なぜ地球全体で、二酸化炭素をやっつけることに、そんなに躍起になってるのでしょうか?