本日取り上げますのは、ココイチとアイリスオーヤマ。
こだわりのオリジナル色が強い人材育成を早くから打ち出しており、その育成方法が4,5年経ち、実り、いま最高益を叩き出しています。
人材育成や働き方改革って、実行したらすぐに結果が出るものではありませんよね?
浸透し、成果が出てくるためには、2,3年必要だと思います。
2,3年かかるなら、早めに動いておいた方が得策。
ということで、本日は2つの事例を見て、早めに実行できる方は、また新しい人材育成方法を、いち早く提案した方がいいかもしれません。
目次
ココイチが全国区なったのはテレビの力??

外食産業が低迷している中にあり、カレーのココイチが過去最高益を達成するなど好調さを見せています。
他のファーストフードとは違う異色の経営方針で、着実に客の評価を得ているのです。
最近では、アイドルタイムの売上アップのため漫画本を置いたり、外国人対応として、積極的にインスタ、youtubeでのPRをしたり人気を持続させています。
驚くほどの急増ではありませんが、ハンバーガーや牛丼などが減少しているのに対し、カレー全般は堅実に伸びているのです。
まだ不況の足音が聞こえない、2013年~2015年にかけテレビ番組では、かなり多くのチェーン店特集が番組となりました。
これは、タイアップ事業として、本来CM以外での広告収入は禁止されているテレビ局が、なんとか番組内でも収入を上げようとした結果だったのです。
そうしたところ、数多くのチェーン店の中で、もちろんココイチもタイアップ放送を強化してPRを行いました。その結果、知名度があがり来店客も上昇。
人気が不動のものになったのです。
じっと我慢したココイチの成功

ココイチの価格は元々高く、トッピングを含めて800円以上が売れ筋商品で、牛丼などの2倍の値段です。
デフレ期に他の外食チェーンが値下げ競争や「メガ盛り」に走った中、ココイチは我関せずの姿勢を貫きました。
その後、メガ盛りを普通に戻したら文句が出る、値下げしたものを値上げすると客が離れる。
客はとてもわがままです。
安売りすると売る側が疲れるだけ。
って分かっていたことなのに、その現象が顕著になったのです。
この疲れる現象に巻き込まれなかったのが、ココイチ。
単価の高さで一定の利益率を確保できたので、値下げ競争に巻き込まれずに済んだのでした。
そして、安くない分=わがままな客は少ない。
という図式のまま、良質の客が付いたままで、ココイチの従業員は他のチェーンと比べてストレスが掛からず、売上を伸ばすことになったのです。
オーナーになるには修業が必要??

人手不足から、他のチェーン店では、店長からスタートするところが多くあります。
しかし、ココイチでは、社員として3年ほど修行しないとオーナーには成れないのです。
なぜ??
人材育成を重視している!

独自の人材育成でも知られていて、チェーン店でありながら、バイトから初めて長い修行期間を経て一人前になって初めて店長になります。
従業員は調理など一定の能力を検定試験で認められると独立して店舗を持つことができます。
そのため、他の外食チェーンのように、お金さえ払えば誰でもオーナーになれたり、昨日入店したバイトがカレーを作っている事はありません。
人材育成には「無駄な」コストが掛かるため、安いカレーが食べたければ、牛丼屋に行って美味しくないカレー食べてってという事らしいです。
なぜココイチの満足度は高いの??

ココイチの特徴といえば、トッピング多さや、カスタムの豊富さですよね。ご飯の量、辛さが細かく指定できる事で、幅広い客の好みに対応しています。
実はカレーの好みは個人差が大きく、少し違うだけで食べなくなると言われ、これがカレー店経営が難しい言われる所以なのです。
トッピングは揚げ物が多いのですが、3年間の修業があるため、全て揚げたてで具の品質も良く、客は払った値段に納得しやすい。
対して牛丼のトッピングは見るからに「作り置き」であり1品100円を超えると抵抗感が出てきます。
肝心のルーだが、他のチェーン店が実は「レトルト」なのに対して、ココイチは作ったルーを各店舗に配っています。
ルーの味にはあえて個性を出さないように、万人向けにして好き嫌いをなくしている。
カレー作りは手間が掛かり、意外に腐敗するのが早いので管理が難しいので、一括生産して店舗に運んでいます。
またカレールーは安定確保が難しいが、ハウス食品の傘下に入る事でカレー粉の安定供給を実現。
こうしたマイナス要因がある故に、ライバル大手がカレー店に進出することは無く、過当競争になりにくい利点があります。
このような要素から、人材の経験を重視することから、さらに人が育ち、高級路線を継続することによって、良いお客さんが育ち、ファンを離さない循環が生まれているのでした。
アイリスオーヤマのちょっと変わった働き方

自分の席にはパソコン禁止

「アイリスオーヤマ」のちょっと変わった働き方といえば、今は実践しているところが多いのですが、自分の席でのパソコンをいち早く取りやめた企業なのです。
そのため、メールで社内連絡はできません。
その代わり、社内にはイスのない丸テーブルを複数設置しており、何か提案やトラブルがあると、ここに関係者が即座に集まるという。
そして、方針を決めてサッと解散するスピーディなミーティングが可能となっています。
どうしてもパソコンが必要な場合は、別途設けられた「パソコン島」に移動してPCを使用することを義務付けました。
なお、一回あたりのパソコンの使用時間の上限は45分に制限しています。
どうやってトップランナーに成長したの??

2009年より本格的に家電事業に参入して以来、急成長を続けている企業、いま白物家電でもっとも勢いのある企業として注目を集めています。
そのビジネスモデルは、コバンザメ方式でした。
大手がヒットさせたものを解剖し、いらない機能を削り3、4割安くしたものを世の中に放出。
日本製ということもあり、たちまち世の中の支持を得たのです。
その後、コバンザメを残しつつ、オリジナル商品もどんどん生産するようになりました。
パソコン排除の狙いは??

アイリスオーヤマによると、その狙いは3つ。
- 集中力と作業効率を高め、労働生産性の向上を図る
- 立って作業をすることで眠くなることを防ぎ、独創的なアイデアの創出を促進
- 血流と代謝を改善し健康を維持する
確かに、座って作業をすると、老けるというNASAのデータもあり、頻繁に立つということは、健康を維持することにもつながります。
とはいえ、お客さんへの資料やメールなど、45分で出来るの??
という疑問が残り、それはアイリスオーヤマの営業スタイルがそうだからでしょ??
なんて思うところですが、工夫次第で何とかできそうですよね?
私がこの立ち場で、45分と制限されるのであれば、取引をする先方へ、メールの簡素化と要点のみの資料になる旨を最初に伝えツーカーの仲になっておく。
ここ大事なポイントだと思います。
メールと資料は音声認識で作り、パソコン不要の状態にしておく。
これで今のところ、パソコン島へ行く必要はありませんね。
いや、もうわざわざ音声認識にする必要もなく、Youtubeでみる一人しゃべりのように、自撮りでしゃべって、それを映像付きで渡すってことでもこれからは成立しそうですよね。
感情も伝えられるし、今後、5Gになり、ビデオレターが普及することになるのではないでしょうか?
企業でYoutubeのようなプラットフォームを作り、メールを送らずとも、ここ見といて!
で済ような新しいビジネスも考えられますね。

放送作家・演出家・地域戦略アドバイザー
1977年生まれ 熊本県天草市出身
株式会社ドーンマジック 代表取締役