例えば、あなたが客室乗務員とします。
機内でおばちゃんグループに物を売りたいとしたとき、どの人に声を掛けますか??
- 買いやすそうな人??
- 全体的に??
- ヒョウ柄の人??
いや違うのです。
ANAのCAは、おばちゃんグループのリーダーをかぎ分け声をかけるのです。
リーダーらしき人、だいたい分かりますよね?
その人が買うといえば、つられて買うと流れもでき、買わなければ、みんな買わないという時間短縮も出来るため、リーダーを狙い撃ちするおばちゃん攻略法がCAにはあったのです。
本日はそんなおばちゃんのハートをある戦略で成長した
アパレル会社「DoCLASSE」のお話です。

「40代以上の顧客」に特化し、中高年の女性が美しく見えるおしゃれな服を手ごろな価格で提供する婦人服の通信販売ベンチャー、ドゥクラッセ。
カタログ販売の逆風が吹く中、2007年にカタログ通販からスタートし、2011年の日比谷シャンテへの出店を皮切りに、現在は45店舗を展開。
業績は右肩上がり、創業10年で売り上げ210億を達成。
人気の秘密の1つはコールセンター。
中高年の顧客が安心でき、リピーターになってくれるための秘密があるのですが、
ではその秘密は何かと言いますと・・・
トップ企業のアイデアはここ!

同じ世代、中高年の女性スタッフを揃える
カタログ会員は250万人おり、100人のオペレータが1日5,000件の電話対応を行っています。
そして、コールセンターのスタッフは40~50代の女性が中心。
センター内に商品のサンプルをすべてそろえ、親切・丁寧に質問に応えます。
さらにカタログに書いてある商品の着心地などに非常に説得力がありファンをつかんでいるのです。
また返品・交換にも柔軟に対応し、通販でありながら、「対面販売に極めて近いのが強み」という。
さらに試作品も顧客と同年代の40~50代のスタッフが試着します。
御用聞きにシフトチェンジした三越デパート

銀座の街で中高年に話を聞いてみると、歳をとってくるとだんだん自分に似合う服がわからなくなって来てしまい、自然と地味めの服が多くなってしまうという。
そんな中、三越が提供するのはパーソナルショッピングというサービス。
このパーソナルショッピングは服のイメージや予算を伝えると、まずはカラー診断を行い、専門の資格を持ったスタッフが会う色を選定してくれます。
カラー診断とは、目と肌と髪の色によって、似合う色をセレクトしてくれる。
診断の結果、はっきりした色が似合うことが判明。
その診断をもとに、三越の店舗を回って似合う商品をオススメしてくれるのである。
たっぷりと時間をかけてさまざまなブランドの商品を紹介してくれる。
これだけ多くのブランドを紹介できるのは百貨店だからこそできるサービスである。
このサービスを利用するお客さんは通常の4倍ほどの客単価になるのだという。
これが、服が売れない時代の百貨店の新たな戦略のひとつとなっている。
若者の街アルタで勝負に出たドゥクラッセ

元ユニクロの店長だった前田秀昭さんお店長に添え、大手のアパレル店や百貨店がひしめく大激戦区で勝負。
しかし、開店から約2週間後には、閑散とした状態となってしまうのです。
新宿アルタ店の年間での売上目標は数年後には30億までの店舗に持っていくこと、それにあたって初年度は10億円に設定されたが、その目標に対してビハインドを持つことになってしまっていた。
巻き返しを図るために前田店長は抽選などのキャンペーンの施策を役員にプレゼン。
しかし、
本当に客が求めているのは抽選なのだろうか…と林社長からダメ出しが入る。
一方、林恵子社長は集客力アップに向けて新商品の開発を急ぎ、開発したのはマジカルサーモフードコート。
中高年の女性はそれでなくても体型が丸くなりがち。
そんな中で、流行りのダウンジャケットでは着るとより丸い体型になってしまう。
そこで、着ぶくれせずにあったかく着れるコートを開発したのです。
これを新宿アルタ店の入り口に配置。通行人が目を留め、購入していく人が増えていったのでした。
通販番組「QVC」のおばちゃん戦略とは

- 「電話が殺到しています!」
- 「もう残りわずかですね!」
- 「あ、たった今売り切れました!」
深夜チャンネルを回すと、こんな声が聞こえてきますね。
そうこれなのです。
売れ行きの状況を常に視聴者に伝えること
人は「皆が好きなもの」だけでなく、「希少性が高いもの」を好む傾向にある。
在庫が刻一刻と減る表示や、ナビゲーターの言葉を聞いて「早く買わないと二度と手に入らないかもしれない」と言う思いに駆られるのです。
ドゥクラッセと同じ「ナビゲーターの親しみやすさ」。
QVCの場合、大まかな流れは決まっているものの、基本的に台本は一切ない。
ナビゲーターがその場で感じたことを、そのまま視聴者に伝えています。
QVCには25人のナビゲーターがいますが、アナウンサー出身者やテレビ局で働いていた人は意外と少ない。
会社の営業マンや警官、レーサー出身のナビゲーターもいると言う。
テレビの中の人、と言うよりは身近な友人のような親しみやすさがあります。
双方向のコミュニケーション
例えば洋服を紹介しているとき、視聴者から「裏地が見たい」とコールセンターに問い合わせがあれば、その場で視聴者の要望に応えることが可能なのです。
メルカリが躍進した要因も、質問のしやすさにもあり共通する部分だと思います。
あとがき

何か欲しいものありますか??
と聞かれて即座に答えられる人って以外に少ないと思います。
QVCに見られるように、おすすめしてくれるものを好きか嫌いか。
食べたいものではなく、インスタで見つけたものが食べたいか食べたくないか。
など、情報過多の今、選択するストレスでヘロヘロになり逃げたかがっているのが、最近の消費行動ではないでしょうか。
では、いま何が好まれるのか?
答えはシンプル。選択肢1つで勝負する「一択マーケティング」。
商品を1つに絞れば、おのずと客層も狭まります。それでも1つの自信作で勝負した方がお店の個性が出やすく、エッジが立った店として多くの競合店の中から抜き出ることが可能になると思うのです。

放送作家・演出家・地域戦略アドバイザー
1977年生まれ 熊本県天草市出身
株式会社ドーンマジック 代表取締役