街中走っている車を眺めていると、、最近アウディとマツダを良く見ませんか??
この両者は旗艦店を使ってブランド力アップをしたのです。
どうやってか??
まずアウディですが、点検や修理、またはショールームを訪れたお客様に対し、乗ってきた車を洗車サービスでピカピカにしたのでした。
そしてそのピカピカの車で街を走ってもらう。
カッコイイアウディが街の中で輝き、宣伝されるという訳でした。
そしてマツダです。
昨年ハワイに行ったときに、マツダがハワイの中では大人気となっておりレクサスと同じステイタスだという話を聞きました。
そこまでマツダのブランド力を押し上げたものって何でしょうか?
みんなに愛される大衆自動車からの脱皮を図り、人気急上昇中にマツダが、最近、東京でブランド発信拠点となる新しい販売店に力を入れているのをご存知ですか。
皮切りは2013年の洗足店、続いて2014年に目黒碑文谷店、2016年は高田馬場店、そして2019年は板橋本店。
肝心の店舗内装はと言いますと、
店全体をダークトーンにしつつ、木を使い落ち着いた雰囲気になっています。
これは温もりを表現したものでした。たとえば同じ黒基調にゴールドカラーで高級感を演出するレクサスの店舗やメルセデス・ベンツのショールームとは違うところだという。
そして車を最大限美しく見せるために、ある業態を参考にしたのですが、
それは・・・
トップ企業のアイデア

レストランのディナー席
レストランのディナー席を参考に照明の当て方にこだわったのです。
周辺の照度は同じように落とし、テーブルに置かれた料理に照明をフォーカスするやり方をクルマに応用。
クルマを最大限に美しく見せるため、ショールームの照度は一般的な明るさよりも落とし、照明の当て方も、最もクルマが映えるような角度に設定されているのです。
今後は店内にターンテーブルを置いて、クルマを少しずつ回して見せるようにする展開も考えているという。
満足度を上げるため納車ルーム専用のフロアを設置

新車引き渡しに際して、駐車場でキーを受け渡すだけのそっけないやり取りを廃止。
接客へのこだわりは、マツダがクルマを所有することに悦びを見出す層をターゲットにしているから。
高級ではなくアットホームに

お客様にとって居心地のいい空間を作り上げるのですが、敷居を上げるのはNG。
上質さを追求すると高級な方向に振りやすくなりますが、敷居が高くなってお客様が入りにくくなるのでは意味がないという。
店内でゆったりと寛いだ気持ちになれるよう、また店内に入らずとも、外から見てもショールームのクルマが美しく映えるようしたのです。
ショールームはクルマを売る場所ではない

クルマを売る店じゃないなく、マツダのクルマを味わってもらう場所である、
いきなり販売スタッフが契約書類や電卓を片手にお客様と接するスペースではない。
なぜマツダの車種は数字に??

「MAZDA3」を皮切りに「MAZDA6」「MAZDA2」と従来のペットネームを廃することを打ち出しています。
その理由として、目標が和製BMWだから。
BMWも車種は数字とアルファベットだけが多いですよね。
仮想ライバルは国産メーカー以上に、輸入車、特にドイツ勢を中心とした欧州メーカーに置いているのです。
品質面ではドイツ車と遜色ないのに価格帯はお買い得というポジションの獲得を意識すると、ブランド発信旗艦店でも上質感や上品さを保ちつつ、敷居は上げないというポリシーになります。
さらに、マツダではクルマのデザインは全車統一感を出し、
一目でマツダ車とわかるブランドアイデンティティに共感する人をターゲットにしているのです。
「自分らしさを大切にする価値観の方に乗っていただきたい」
「こだわり」をもつユーザーに絞っていたのでした。
あとがき

1990年代、マツダが4年連続赤字に転じ、どん底に沈んだ時期がありました。
我々世代は、マツダに乗っていると、えっ??なんで??という感覚があったと思います。
そんなマツダが2013年以降、見事なV字回復を果たしています。
業績悪化にもがき苦しむ企業も多い中、どんな手を使って復活したのでしょうか。
もちろん復活のきっかけは一つではなく様々な要素があり、例えば、生産ラインの効率化やデザインコンセプトの統一といったことが要因とされていますが、アイデアの参考となるネタとしては、「絆をしっかり作ったこと」ではないでしょうか。
ワン・トゥー・ワン・マーケティングを徹底的に実行したのです。
通常、メーカーは製品から市場を見ます。
商品が良ければお客様に買ってもらえるはずだと考えるのです。
そのため製品が売れなければ、それは販売力のせいだと思ってしまいます。
ところが、マツダはそうではありませんでした。
クルマを買う人をしっかり見ていたのです。
マツダの熱烈なファンを増やそうと考えたわけです。
そこで、まずマツダがやったこととして「ロードスター」に絞り、熱烈なファンを作ることを考えました。

ファンなんて簡単に出来る??
って思いますが、マツダは難しいことではなく地道に実行しました。
まず、マツダの社員とお客様が直接触れ合うことのできるイベントを開催。
例えば、富士スピードウェイなどを使っての親子に、車整備の体験やモノづくりの体験をさせます。
ロードスターへの試乗もあり、お客様を徐々にマツダやロードスターの世界に引き込みます。
各地でそうしたイベントを重ねながら、各地で「ロードスター」のファン発生が。
そして、マツダは「アンバサダー」という肩書をつけ、よりコアなファンとして認定したのです。
すると、「アンバサダー」になったお客様は、周りの人たちにマツダやロードスターの宣伝をし始めます。
そして、やがてファン同士の「コミュニティー」が誕生。
これからは雪だるま式にファンによる自発的にイベントが開催されるようになったという訳です。
この活動を通じて、マツダとファンの「絆」がどんどん深まっていったのでした。
この戦略の凄いとこは、ファン同士のコミュニティが出来る土壌を作り上げたというところですよね?
ファン同士を仲良くさせ、競い合わせる仕掛けが勝利のキーだったのではないでしょうか?

放送作家・演出家・地域戦略アドバイザー
1977年生まれ 熊本県天草市出身
株式会社ドーンマジック 代表取締役