1964年東京オリンピックでの風俗の浄化がきっかけに誕生したスナック。
キングコング西野さんがスナックから経営を学んだと言い、堀江貴文さんも「飲食店の究極系」と起業をするならスナックが一番と発言。
インフルエンサーも認める日本のスナック。
また、最近は女性の社会進出が影響していることもあり、「スナック女子」という言葉も誕生し、女性スナック客が増えています。
今、形を変え、新しい形態として注目されているスナック。
本日は、いまトレンドになりつつある2つの事例をご紹介します。
人間関係構築の場としてのスナック

ハラスメントや働き方改革が進む中、「飲み会」という機会は段々と少なくなってきました。
そのため、多くの企業では、組織内における人間関係の希薄化が問題となっており、問題にしているのは上司ですが…
とはいえ、風通しのいい会社というのは、成長の速度も早まりますし、離職者も防ぐことができます。
そこで、最近注目されているのが、スナックのフラットな雰囲気を社内のコミュニケーションに活用した「オフィススナック」。
オフィススナックとは、スナックがもつ特有の雰囲気や、ママ・ホステスの対人スキルを活用して、社内で円滑なコミュニケーションの醸成を目的としたイベントなのです。
どのように活用するの??
大きく分けると2つのパターンがあります。
- オフィスにスナック機能を設けること
- スナックで飲み会をすること
オフィスでのスナックでは、会社のフリースペースに簡易的なスナックを設置。
実際のスナックママを派遣して接客をお願いします。
最大の特徴は、その会社の社長や役員がママやマスターとしてカウンターの中に入り、接客を担当すること。
そこまでするの??
と思うところですが、普段は遠い存在である経営層がカウンターに立つことによって、自分たちをおもてなししてくれるということは、社員自身が自らの存在を再認識する機会となるのです。
また経営層にとっても、この場の会話から、これまで顕在化してこなかった問題や課題、あるいは社員の本音が垣間見えたとの声も。
双方における新たな発見は、経営層と社員の相互理解につながります。
次に、スナックでの飲み会ですが、こちらも、上司がママになるスタイルは同じです。
しかし、接客とはなかなか難しいものですよね?
恐れ多い存在であった経営層が、他人であるスナックのママからツッコミを入れられたり、時には接客における指導を受けたりするなど、スナック特有のフラットなコミュニケーションがカンフル剤となり、話しやすい雰囲気が作り出されるのです。
上司が接客しないパターンでも、スナックは活用されています。
上司と部下だけで飲み会となると、言いたいことも言えませんよね?
コミュニケーションが苦手な人であっても、ハブ的存在であるママやホステスがいるスナックだと、話のきっかけをつかみやすいく、スムーズな飲み会となるのです。
介護スナックが激アツ!!

2065年には日本の総人口の3人に1人が65歳以上となり、日本の超高齢化は待ったなしの状態です。
そのような中、最近ブームになっているのが「介護スナック」。
発祥は、神奈川県横須賀市の「介護スナック・竜宮城」で、いま全国の地方として増加中なのです。
介護体制万全の飲食スタイル
竜宮城の経営者は地元横須賀で介護関係の事業を行う会社。
そのため、介護事業で培ったさまざまなノウハウをスナックに活用しています。
例えば、
- 店のスタッフ看護師、介護士、理学療法士などが担当
- 介護車両による送迎サービス
- 店内の完全バリアフリー化
- カウンターは車いすの高さに合わせて設置
- テーブルはひっくり返ったりしないようにボルト固定
- 認知症の人が勝手に出ないように入口扉に暗証番号式のロック機能。
- トイレは要介護の人のためにオムツ替えの設備
と、あれ??施設と変わらないじゃん??
と思うところですが、店の内装には福祉施設の要素はみじんも感じられず、むしろ華やかな装飾が施されており、お客を楽しませるようになっているのです。
飲んで歌って楽しんでもらうために、ミラーボールが設置された部屋で、お客さんが現役だったころの昭和40年代くらいのスナックをイメージした内装。
カウンターやその奧に並ぶ酒類は豊富で、高級な洋酒や地方の地酒なども並んでいます。
さらに、カラオケも、あえて古い機種を入れている。
なぜか??
利用者に好まれる「軍歌」や古い歌が入っているから。
このように安全を確保しつつも、それを感じさせないように楽しんでもらえる環境を整えているのです。
お酒って体力使うから大丈夫なの??
お客の来店前には家族や施設の職員などと打合せし、飲ませても大丈夫な酒の種類や量を決めておきます。また、人によっては、誤嚥が起こらないように、酒にとろみをつける場合もあります。
さらに、店の利用者は、お酒が飲める元気の人だけという訳ではなく、認知症の人や介護認定の人、末期がんのステージⅣの人たちもいると言います。
家族や友人とスナックで飲むことは2度とないだろうと思っていたような人たちが、万全な受け入れ態勢の下、諦めていた楽しい時間を再び過ごせる場所なのです。
あとがき

古き良き昭和時代のスナックを知るお年寄りたちにとって、スナックは元気になれる場所ですよね。
高齢者が元気になり、体調がよくなると医療費も少なくなります。
高齢化社会を迎えた日本のこれからのサービスとして、介護スナックは、今後必要になってくるのではないでしょうか。

放送作家・演出家・地域戦略アドバイザー
1977年生まれ 熊本県天草市出身
株式会社ドーンマジック 代表取締役