東京オリンピックに向け、観光立国を目指す日本。
海外からの旅行者もここ5年間で4倍近くに増え、2400万人に達し世界16位にまで上昇。

ところが…
旅行者1人当たりの消費額は世界44位に低迷。オーストラリアのわずか3分の1なのです。

なぜか??
ものが安すぎるから。というのは一度置いておくとして、どうすれば、外国人の消費を増やすことができるのでしょうか?

その強力な打開策として今注目されているのが、夜の経済「ナイトタイムエコノミー」

東京の夜は遊ぶところが少ない??

外国人観光客は、夜の東京をどう過ごしているのでしょうか?
観光地回ってる??
飲みに行ってる??
いいやどれも違います。

観光名所のそのほとんどが、18時辺りの閉館時間になり、例えば浅草寺に来たとしても、仲見世は締まっており、参拝すらできません。

では飲みに行ってるの??
いいえ!
それも飲んでいる訳ではなく、ただ街を歩いている。

もちろん派手な街や横町が珍しいというのもありますが、外国に比べ、外で飲むことが出来る日本は飲酒天国で、実に缶ビールやチューハイを抱えて飲みながら街歩きをしている外国人が多いのです。

そして、例えば東京でいうと、1つの街が大きく終電を気にする必要があります。
そのため、電車で帰る時間を逆算しなければならず、そそくさに帰るのです。

ナイトタイムエコノミーの先進地・ロンドンの成功例

さみしい限りの日本の夜ですが、実は世界では今、ナイトタイムが巨大な市場に成長してます。
ナイトタイムエコノミーの先進地イギリス・ロンドン。
深夜3時にも関わらず、街には人がいっぱい。外国人観光客も多いのです。

例えば、ミュージカルは夜8時と、遅めの開演。美術館でも夜12時近くまでイベントが行われています。芸術を楽しみながら、お酒も飲めるところも多い。
また、ナイトタイムエコノミーの原動力になっているのが地下鉄。
金曜と土曜は朝まで夜通し運転しています。
国を挙げてナイトタイムエコノミーを推進した結果、ロンドンの夜の経済規模は4兆円にまで成長。
新たな雇用も生まれ72万人が、みな夜も働いているのです。

日本の夜には何が足りない??

例えば、こんな声があります。
「ミュージカルが見たいけど、外国人の大人でも楽しめるショーがない」
「昼は観光して、夜は食事以外にも何かアクティビティーに参加したい。夜は伝統的なショーがあれば見てみたい。」

特に、娯楽が足りないという声が多いのです。

日本の夜はつまんない??

外国人観光客は、日本でどれだけ娯楽にお金を使っているのか。
実は、消費額全体のわずか1%。欧米では10%を超える国もあるのに比べると、もの足りない数字。
ということであると…外国人観光客にとっての日本の夜をどう思う?

海外に比べてつまらないものだと思っているのです。

なぜ??

夜遅くまで電車動いていませんし、コンサートにしても、スポーツにしても取れない。
もしくは会員じゃないと入れないとか、回数自体が非常に少ないとか。

逆に、外国ではどんな楽しみがある?

例えば、夜遅くまで美術館、博物館が開いているとか、劇場が9時から始まるとか、コンサートがロンドン市内、例えばもう何百も毎日のようにありますので「今日、何をしようか」ということで、逆に非常に困るぐらいまで選択肢が多すぎます。

日本が観光立国を目指す上で必要なものは??

そもそも観光立国の最大の目的は、日本経済を活性化するため。
これから日本人の数がどんどんどんどん減っていくため、人間が減れば稼がないとどうにもならないものになります。

いま、ナイトタイムに外国人観光客が来ているにも関わらず、掴めていない。
夜稼ぐ機会を今後作るのが課題なのです。

そこで、いま何とか出来るモデルは無いのか?
と注目を浴びているのが、この2つ

ロボットレストランがナイトタイムのパイオニア??

少しずつナイトタイムの活性化が進んではおり、そんな中、何とかチャンスをつかもうという動きも出始めています。

それがロボットレストラン。

こちらは、食事をしながらロボットやダンサーによる華やかなショーが楽しめる、ロボットレストランです。
巨大な力士ロボット。
迫力ある大蛇。
夜10時ごろ開演のレイトショーも大にぎわいです。

入場料は飲食代別で8,000円。年間12万人の観客のうち、8割以上が外国人です。

日本ならではの文化やテクノロジーを、言葉が分からなくても味わえるイベントが人気だそうです。

さらに、こんなディープなツアーも好評。
横町バーホッピング。新宿の歓楽街や小さな飲み屋が並ぶゴールデン街。
観光客には入りづらい場所を丁寧に案内するもの。

やることがない観光客を早く取り込んだもの勝ち

日本人と違い、外国人の休暇は長いものになります。
そのため暇な人。
予定がない。
友達がいない。
仕事が明日ない。

そうすると、そういう暇潰しのお付き合いというのは一番の目的になっています。
そのため夜も空いていますので、その夜の暇潰しお付き合いが一番のポイントになります。

とはいえ、夜を活性化するって、自治体にとっては、住民の反対や犯罪率の増加を懸念する声がありで、なかなかハードル高いですよね??

イギリスではこうやって解決

ナイトタイムエコノミーで成果を上げているイギリスですが、最初からうまくいったわけではありませんでした。
やっぱりこんな声が市民から最初はありました。

「治安が悪化するのではないか」
「ゴミが放置され景観を損ねないか」
など、不安の声が相次いだのです。

5年前、政府は新たな対策の導入を決めました。
それが「パープルフラッグ」という認定制度。
紫の旗は「安心して夜遊びできる街」と、国がお墨付きを与えた地域。
認定されれば、初めての外国人観光客も訪れやすくなるということで、各地でフラッグの獲得合戦が繰り広げられています。

例えば、パープルフラッグの認定を目指し、街の改革に取り組んでいるロンドン郊外のクラップハム。
かつて、市内有数の治安の悪さで知られていましたが、ナイトタイムを推進する団体が中心となって毎週、対策会議を開いた結果、

パープルフラッグを取得して、犯罪率を減らし、治安を改善することに成功。
例えば、クラップハムの街では、非番の警察官などが警備ボランティアを組織し、夜の9時から朝5時まで見回りをするようにしました。

犯罪率は2年で半減。
さらに、酔っ払った客を介抱する場所を設けることで、救急車の出動回数を減らすことにも成功しました。

また、バーやクラブだけでなく、未成年や家族連れでも楽しめるレストランやカフェも増やしましたのです。

あとがき

いまやナイトタイムエコノミーは世界の常識になりつつあります。
ニューヨークやパリ、シドニーなど、世界26か国の都市から夜の市長が集まり、どのようにナイトタイムエコノミーを進めていくのか、地域の理解をどう得ていくのか、議論が交わされています。

例えばアムステルダムでは、廃校となっていた学校を、ナイトクラブや夜まで営業しているレストランに改装。
地域ににぎわいをもたらしました。
さらに、こちらのナイトクラブでは、営業していない昼間の時間帯を、住民に開放しています。
絵画の展覧会やヨガ教室など、さまざまな地域活動ができるようになったと、住民に喜ばれているそうです。