日本でも京都や奈良など、オーバーツーリズム問題が深刻化し、新しい旅の形の発掘を求められていますよね?
とはいえ、具体的にどのトレンドに注目すれば良いのかはわかりにくいですよね?
目次
そこで、本日は世界的にジワジワ来ている旅の形をご紹介。
さて2020年どんな新しい旅が出てくるのでしょうか。
アンダーツーリズム

オーバーツーリズムと真逆の存在で、その対策として、世界でトレンドになっているのが
「アンダーツーリズム」。
有名ゆえ、混雑となった観光都市部から離れ、これまで無名だった穴場的スポットを発掘しようというもの。
その土地ならではの体験や文化、ストーリー性を打ち出し、地域との関わりを生み出すことが魅力とされています。
日本でも新たな観光として、自治体で力を入れているところが増えています。
ウェルネス・トラベル

イスラエルのスタートアップ企業でもブームであり、世界的に急成長を続けているウェルネス・ヘルス事業。その旅行版。
心身のヘルスケアを目的とした旅行のことで、フィットネスや瞑想等のアクティビティを組み込んだプランに加え、航空機の機内食やコンテンツもウェルネス志向を取り入れ始めています。
例えば、大手ホテルではランニングシューズやヨガマットのレンタル、スムージーやヘルシージュースの提供、室内メディテーションアプリの搭載など様々な手法で、ヘルス旅行者の要望に応える動きが拡大しています。
さらに、ウェルネスに特化したホテルも出現。
タイのチバソムヘルスリゾート、ブータンのシックスセンスを始め、ミラヴァルリゾーツ、エクイノックスホテル、イーヴンホテルズといったプレーヤーが国際的なウェルネス・ツーリズムをリードしています。
また、米国ニューヨークタイムズの発表によれば、NYの美術館はヨガや瞑想といったウェルネスに関連したイベントを手掛けるのに忙しく、連日チケットは売り切れになっているとのこと。
メトロポリタン美術館の広い館内を利用し、美術品の合間をランニングやワークアウトをするフィットネス企画や、MOMA(NY近代美術館)のモーニング瞑想セッション、サウンドヒーリングなど、ヨガクラス以外にも面白いウェルネス企画が美術館で人気を集めています。
日本の得意とする健康押し

このウェルネスは長寿国日本にとって追い風ではないでしょうか。
古来より日本には伝統的な健康が生活に深く浸透しています。
温泉、禅、精進料理、マクロビなど伝統的な日本的なウェルネスは、長い間日本人の文化として受け継がれており、これは訪日客にとって特別な体験となることだと思います。
旅行ガイドブックのロンリープラネット社によると、ウェルネストラベルは旅行業界の中で近年最も成長の速度が速い分野。
また、ローバル・ウェルネス・インスティテュートによると、2013年~2015年の間でウェルネス系の旅行収益は14%増加し、成長率は旅行支出全体の倍以上。
今後、旅行者の求めるウェルネス・オファーを持つことがリゾート地やホテルにとって重要な課題となっています。
サステナブルツーリズム

観光客が一方的に旅行先のコンテンツを消費するだけでなく、そこに住む地域の人々の生活も豊かになるように考えられた旅全般が、サステナブルツーリズム。
このサステナブルツーリズムもオーバーツーリズムの対策として考えられた旅の形。
車両の排気ガス規制、観光スポットへの人数制限、飛行機の移動時の無駄なサービス廃止等、環境への影響を考えた取り組みが、積極的に展開。
今では旅行客を受け入れる宿泊施設についても、アメニティに再利用可能なものが使われているか、ゴミの廃棄が適切かといったことに厳しい目が向けられるようになっています。
ブッキング・ドットコムの調査によると、日本の18歳以上の旅行者のなかで「サステイナブルな旅をする意欲がある」と回答したのは81%。
しかしながら、「実際にサステイナブルな旅をよくしている」あるいは「常にしている」と答えた回答者は25%にとどまっています。
2020年はどんな旅行トレンドになるの??

ブッキング・ドットコムが2020年の旅行トレンドを8つ予想。
1億8,000万件以上のクチコミの情報、29の市場における22,000人以上を対象にした調査を元にした結果。ブッキング・ドットコムは「未だかつてないスタイルの旅が象徴する年になる」としたうえで、8つの予想を発表。
- 『穴場旅』の人気が上昇する
- テクノロジーが叶える、未知なる体験との出会い
- 周りに付いていくための焦りを感じながらの旅ではなく、ゆったりと楽しむ旅へ
- 多彩な魅力が揃う旅行先への旅
- ペットが優先事項に
- 孫との旅行で心に残る思い出作り
- レストランの予約が旅行の重要な要素に
- 退職後は長期旅行へ
①『穴場旅』の人気が上昇する

- オーバーツーリズムの緩和に貢献したい:54%
- 環境負荷を抑えることができるなら、旅行先を別の同じような場所に変えてもよい:51%
- 「自分たちの訪問が現地にとってプラスになる旅行先」を教えてくれるサービスを利用したい:60%
観光客はオーバーツーリズムの回避や環境保護を希望しており、「穴場旅」へ関心がシフトする予想。
➁テクノロジーが叶える、未知なる体験との出会い

- サプライズなオプションをテクノロジーを介して利用したい:59%
- 手軽にアクティビティの検索と予約ができるアプリを使用する:46%
- アクティビティを事前に計画でき、手軽に予定を確認できるようなアプリを利用したい:44%
いまブッキングドットコムでも、この分野に力を入れていますが、2020年はユーザーのニーズがさらに高まり、テクノロジーを活用したサービスに人気が集まる予想。
③「周りに付いていくための焦りを感じながらの旅ではなく、ゆったりと楽しむ旅へ」

- 環境負荷を減らせるのであれば、時間がかかる移動手段を選ぶことも検討する:48%
- 旅そのものをさらに満喫するため、距離がより長い経路を選ぶ:61%
- 移動すること自体が体験となるような旅行をしたい:62%
- 古き良き鉄道でタイムスリップ感覚を味わうことに興味がある:64%
- ユニークな移動手段であれば、目的地まで時間がかかっても気にしない:56%
④多彩な魅力が揃う旅行先への旅

- ・自分好みの体験を楽しめる場所や名所が固まっている旅行先に長期間出かけたい:54%
- ・旅行の時間を節約するため、行きたい場所や名所が集まっている旅行先を選ぶ:62%
1つのテーマに絞った旅行ではなく、多くの魅力が集まる旅行先への訪問が人気を得る予想。
⑤ペットが優先事項に

- ペットは自らの子供と同等に大切な存在だ:55%
- 来年はペットを連れて行けるかどうかで旅行先を選ぶ:42%
- ペットに配慮した宿泊施設なら、より多くのお金をかけてもよい:49%
ペットを家族とみなす価値観が広がっており、ペットと一緒に宿泊できる施設は、さらに人気を集める予想。
⑥孫との旅行で心に残る思い出作り

- 親は子どもから離れて過ごす時間が必要だ:71%
- 孫と過ごす時間のおかげで若々しくいられる:72%
- 旅行はさまざまな世代が一緒に時間を過ごすのにもっとも良い方法の1つだ:75%
孫活も盛んに行われおり、今のシニアは健康的で冒険心にあふれています。
そのため、祖父母と孫をターゲットにした旅行が人気を集める予想。
⑦レストランの予約が旅行の重要な要素に

- 休暇中は旅行先の郷土料理や地元の料理を食べることを重視する:71%
多くの旅行者において「評価の高い飲食店を予約できるかどうか」が、旅行先を決める基準になる予想。
⑧退職後は長期旅行へ

- 旅行は退職後の時間を過ごすのに最適な方法だ:65%
- 退職後はより冒険に満ちた旅行を選択するつもりだ:47%
- 数ヶ月間旅に専念できるギャップイヤーを計画している:19%
- ギャップイヤーは年齢を問わずいつでもできる:52%
ギャップイヤーとは、卒業と入学の間など「節目と節目の間の期間」。
最近は定年に達しなくとも仕事を引退するケースが増えてきました。
定年前のギャップイヤーを使い、長期旅行を計画する旅行者が増える予想。
出典:ブッキング・ドットコム「2020旅行トレンド予想」
https://travelpredictions2020.com/japan/

放送作家・演出家・地域戦略アドバイザー
1977年生まれ 熊本県天草市出身
株式会社ドーンマジック 代表取締役