日本でもプロ野球の開幕が迫っていますが、無観客試合が続くことが想定され、少し寂しいテレビ中継となることだと思います。
ファンの熱狂がよりエキサイティングさを高めてくれるプロスポーツですが、ヨーロッパ、ドイツのブンデスリーグでは、無観客試合にも関わらず、あるアイデアで、スタジアムの活気を取り戻すことに成功。
スタジアムに来ることができないサポーターに向けてのサービスで、さらに、チケット収益も確保できたのです。
それが…
トップ企業のアイデア

顔写真で席を確保できるシステム
事前にチケットを購入すると等身大の人型ダンボールを19ユーロ(約2200円)で購入できるのです。
耐水性があるダンボールに顔写真を張り付け、指定したスタンドの席に貼り付けます。
その結果5万枚の人型人形売り出され、スタンドの空席を埋めることになったのです。
さらに、高いチケットになると「等身大の厚紙の切り抜き」がオーダー出来、席の優劣をつけることにも成功。
この収益によって、チームで働く7人のスタッフを雇用し続けることができ、売り上げの一部はクラブに近い慈善活動に寄付されるという。
また、厚紙自体は、コロナ危機の間に閉鎖を余儀なくされた、メンヘングラッドバッハにある二つの小さな企業で製造されており、コロナで落ち込んだ、地域の売上に貢献したのです。
ドイツ紙「ビルト」によると、9日間で5300枚の注文を受け、すでに1500枚がスタンドに設置。
守護神のスイス代表GKヤン・ゾマーは「素晴らしいアイディアだね!今週初めて見たけど、今後もっと増えることに興奮しているよ。ファンが僕らとともにいることを感じさせるし、彼らにとっても僕らを応援できるのは重要なことだ。この時期にとても力になるよ」と喜んだという。
本日はもう一つ事例紹介
それは同じくプロサッカーですが、プロリーグといえども、女子プロサッカーはそのほとんどが、プロのギャランティだけでは生活できない状況なのです。
そんな中、FIFA女子ワールドカップの公式放送局であるTelemundoが、アルゼンチンで女子サッカー選手の知られざる実状を訴えるキャンペーンを展開。
サッカーだけで生計を立てることが難しく、半数の女子プロ選手が副業をしているという現実があります。
そこで展開したのがこちらのCM。
FIFA女子ワールドカップ2019開催に際して選手をヒーローのように紹介する派手なキャンペーンは行わず、代わりに選手が日々直面している「困難」を紹介したのです。
再生されるのはサッカーのシーンではなく、女子プロ選手がアルバイトをしながら送る1日。
女子プロ選手の現状を伝えるべく、テレビのレポーターやお天気キャスター、スポーツキャスターなど彼女らの副業となり得る仕事を紹介。
その結果、このCMは話題となり、前回大会の2015年と比べ、27%の視聴者の増加になり、エンゲージメントは5億を達成。
何かを伝える時、人の感情をえぐる「裏側」も分析して、しっかり伝えることに成功した事例でした。

放送作家・演出家・地域戦略アドバイザー
1977年生まれ 熊本県天草市出身
株式会社ドーンマジック 代表取締役