アメトークで家電芸人が頻繁に放送される頃からでしょうか?
白物家電の売上が拡大しています。
2017年から国内白物家電の売れ行きが回復し、その年1997年以来20年ぶりの2.3兆円になりました。
2019年も好調は続き、白物家電全体の出荷額も過去10年間で最高の1兆3084億円を記録しています。
同じ期間で電子レンジ、大容量洗濯機、スティック型掃除機が増え、特に高機能家電が売れていました。
もう一つは掃除機のダイソン、ルンバなど特定の家電を得意とする新興メーカーの登場が目立っています。
さらに低価格ブランドのジェネリック家電やプライベートブランドで価格の幅が広がっており、購入のバリエーションが増えたことも売り上げ拡大に貢献しています。
目次
本日はその家電の巨頭・ヨドバシカメラのお話です。

インターネットショッピングの世界では、王者のアマゾンが一人勝ちの状態。
と思いきや、最近右肩上がりに売上を伸ばしているのが、家電量販店のヨドバシカメラ。
注文から最速でその日に届く「ヨドバシドットコム」は、アマゾンのお家芸をも超える即日配送でアマゾンを猛追しております。
実にネット通販は総売り上げの10%を超えており、立ち上げ当初から見事に右肩上がりの成長を見せています。
その理由として、
実はある場所で自社の販売サイトに誘導するようにしているのですが、ではその場所はどこかと言いますと…
トップ企業のアイデア

ヨドバシカメラの店頭商品の前
店舗の商品についている「バーコード値札」。
専用アプリで読み取ると、その場で「ヨドバシ」の該当ページに移る。
まさにショールーミングを逆手に取った方法。
店頭もネットも価格は同じで、ポイントも共通化されています。
また店舗の販売実績としてカウントされるので、店舗からの不満も出ないと言います。
なぜWEBへ誘導するの??

リアルからバーチャルに誘導する戦略では、店舗に在庫がないような「レア商品」がロイヤルカスタマー(優良顧客)を生む効果もある。
例えば、特定ブランドのレコード交換針などがそれ。音楽CDの販売額がネット配信に逆転される時代に、アナログレコードを愛聴しているマニアは数こそ少ないが、アイテムへのこだわりは強いのです。
価格帯の住みわけがはっきりしてきた家電業界

アイリスオーヤマやYAMAZENって中国製??と思うくらい低価格でありながら国内メーカー品というところが人気の秘密です。
そしてテレビでもオリオンやmaxzenも低価格ですが新興国内メーカーです。
あのドンキホーテ激安4K販売も記憶に新しいところです。
対して、かつての国産家電メーカー、日立や東芝や三菱電機はラインナップが縮小していて、シャープは実際には中国製、パナソニックも高価格品にシフトしています。
以前のように普及品から最高級品までフルラインナップのメーカーは存在しなくなり、住み分けが進んでいます。
そんな中で有名ブランド家電は高機能・高価格な電子レンジや洗濯機などを販売しているのです。
高機能激安家電はどうやって製造してるの??

低価格家電として、ドンキホーテプライベートブランドも人気を得ていて、驚くような値段で4Kテレビなどが売られています。
プライベートブランドの正体というと…中国製部品の寄せ集めで、一度きりの生産なので多くは補修部品が無く修理ができません。
その時の最安値のパーツを組み合わせてテレビなどを作るので、生産終了したら補修用部品などなく、そのため安く生産できるのです。
とはいえ、部品も性能があがり、現在では壊れない(または意図して壊れるように作らない)家電が多く、問題はないという。
あとがき

激安競争は、時間がたてば疲弊しますよね。
そのため今後は付加価値をいかにつけるかが勝負になるのでしょうか。
アイリスオーヤマのように、コバンザメ方式を狙うのが、個人的には一番賢いかと思うところです。
高機能高価格品のキーワードとして、「時短」「上質」「スマート家電」があり、有名メーカー品はここにシフトしています。
例えば、エアコンならいちいち温度調整しなくても適温が維持されるとか。気清浄機能がついて省エネになる。
ガス台にかならずついているビルトインコンロでは、入れっぱなしで焼く、煮る、蒸すの調理ができるタイプが販売。
高機能トースターは“遠赤グラファイトヒーター”によって余熱が不要で、外はカリっと、中はホクホクしっとり焼ける。
パンだけではなくトースターで油を使わないノンフライや、ハンバーグのような焼き物調理もできる。
フライパンで焼くのと違いずっと見ていて裏返す必要が無いので、時間を有効に使える。
洗濯機も洗濯ものと洗剤を投入すれば乾燥までしてくれる全自動タイプが人気で、これも洗濯中に他の用事を済ませられる。
手間がかからずずっと見ている必要がなく、ほったらかしで出来上がりも良いというのが今時の高機能家電です。
スマホと連携したスマート家電、AIを搭載したAI家電も人気を得ていて、ネットにつながる「スマート電球」も売られている。
スマホで電球の色を変えたり、スピーカーで電球がしゃべるタイプもあり、目覚ましにも使えるという。

放送作家・演出家・地域戦略アドバイザー
1977年生まれ 熊本県天草市出身
株式会社ドーンマジック 代表取締役